【なないろキッズ】 #37 睡眠リズムを整えて

発達の偏りのある人は、寝付きが悪かったり、眠りが浅く一晩に何度も目覚めたりするなど、睡眠の問題を抱えていることが少なくありません。睡眠が十分取れないと、日中の活動や発達に影響するので睡眠リズムを整えることはとても大切です。
日中しっかり太陽の光を浴び体を動かす、テレビやタブレットなどの視聴やゲームは寝る前は避ける、睡眠前のルーティンを作る|といった一般的なことは一通り守っても、どうしても眠りにくい人もいます。さまざまな工夫があるのでいろいろ試して、子どもに合った寝付きの方法を探していくしかないこともあります。
Aさんは小学4年生の自閉スペクトラム症の女の子。乳児期から寝付きが悪く、抱っこして何とか寝かしてだいぶ時間がたっても、布団に下ろすとすぐに目を覚ましてしまうので、お母さんが抱っこしたままソファで眠ることが何カ月も続いたものでした。
保育園時代は、園での興奮を引きずって眠れず、毎晩のようにドライブをして車の中で寝かせていました。また夜中に寝ぼけて歩き回る夜驚(やきょう)症にも苦労しました。最近は学校で緊張することが続くと眠れなくなることが増えました。
静か過ぎると小さな家電の音などが気になるというのでイヤーマフを付けて寝るようにし、寝具も重量感のある布団に替えると少しは改善しましたが、まだ眠れない日もあります。主治医に相談し、睡眠リズムを整える薬を飲むようにしたところ、リズムが安定し、疲れが取れるようになり、笑顔が増えました。
薬物療法といっても、いわゆる睡眠導入剤とは違う、睡眠リズムを整えるための副作用が少なく依存性のない薬や、興奮を鎮めて寝付きをよくする漢方薬などもあります。睡眠の問題はないがしろにせず、専門医に相談してみるとよいこともあります。