シニア大きな戦力へ 中信地区の2法人に取り組みなど聞く

定年を過ぎても現役でばりばり働いて─。少子高齢化で、労働人口の減少や働き手不足が課題になる中、シニア世代に「大きな戦力」として期待が集まる。こうした経験豊富な人材の活用や再就職に力を入れる中信地区の2法人に取り組みなどを聞いた。

経験と人脈魅力昇格など可能に

◇北アルプスの風法人グループ(安曇野市豊科南穂高)
大町市内を中心に、福祉施設や介護関係の人材を育成するスクール、飲食店経営などの事業を展開する。グループ全体で327人の正職員とパートがおり、このうち60~69歳以上は54人、70歳以上は23人だ。
早期離職を防ぎ、多様な人材を受け入れようと、2016年に正職員、17年にパートの人事制度を導入。シニアの「戦力的雇用」に積極的な事業者を選出するJEED(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)など主催の「高年齢者雇用開発コンテスト」で昨年度の県代表2事業所のうちの1つになった。
同グループの最高齢、堀祐子さん(76)は特別養護老人ホーム「リーベおおまち」(大町市)の施設長で、68歳で採用された。また「社会福祉法人北アルプスの風」(同)の総務部長、前田敏博さん(69)は67歳の採用だ。
堀さんは長年の介護の現場や、県介護福祉会(長野市)などで指導者として、前田さんは大町市の総務部長や収入役、地域包括支援センター長の経験などからスカウトされた。北アルプスの風法人グループの神谷典成理事長(46)は2人について「経験値、包容力、安定感、人脈、人柄などで判断した。シニアならではの能力」と評価する。
こうしたシニア世代を確保するための待遇を設けた。年3回実施する人事考課で、習熟度など、職位に応じた基準を明確にした「キャリアパス」制度。これにより、シニアでも若い職員と同じ昇格が可能という。
また、体力に応じた担当業務の配置転換。仮に体力的に介護の仕事が難しくなった場合は、能力や経験を考慮し調理や送迎などへ配置換えする。
病気やけなどをした場合、それが就業中か、そうでないかを問わず、入院費の自己負担額の全額を補助する。同世代や若い世代との交流事業にも活発に取り組んでいる。
団塊世代の多くが後期高齢者となり、介護職の人材不足が予想される5年後には、70歳以上の職員の割合を現在の約2倍まで引き上げる考えだ。

事務所を開放へ利用者の交流も

コンサルティング会社・地域人事(松本市双葉)
池口良明社長(68)は人事畑で約40年勤め、この間、県内の2000人以上の再就職を支援してきた。「シニアならではの経験や知恵、ネットワーク、そして『人間力』を発揮できればいくらでもチャンスはある」と強調する。
同社では紹介した50歳以上の人材が再就職した場合に、企業から支払われるコンサルティング料を、それ未満の年代より安価に設定。就業後、一定期間はキャリアコンサルタントによる無料サポートもする。
また、紹介した人材が早期退職した場合は、コンサルティング料を全額返還する「日本初」という取り組みもしている。
今後は、事務所の空きスペースをシニア向けに開放する計画。そこで就労相談を受けたり、利用者同士が交流したりすることで新たな事業を生み出す。
自社のホームページには求人情報を掲載せず、依頼者と対面してニーズを探る池口さん。「次期社長を紹介してほしい」といった依頼や68歳で大手企業の総務部長になった人材を紹介したこともあり、「年齢ではなく、(その人が)何をしてきて、何ができるかが重要」と助言する。

モチベーション若い世代交流も

JEED長野支部(長野市)の話
シニア世代の活用は、モチベーションをどう上げるか、また若い世代とのコミュニケーションをどう図るかなどが鍵になる。