「化学物質過敏症」知って

身の回りにある化学物質に反応して頭痛やめまい、吐き気などの体調不良を引き起こす「化学物質過敏症」。重症だと仕事や家事ができない、学校へ行けないなど日常生活に深刻な影響をおよぼす「現代病」ともいわれます。この病気を知ってもらおうと白馬村で2月に催しを開いた登山案内人や自然保護活動などをする大隝(おおしま)真紀子さん(46、白馬村北城)に話を聞きました。

症状や原因に個人差
生活のあらゆる場面で接触

─化学物質過敏症とは
現代社会では、建築物に使われる建材や塗料、接着剤、洗濯に使う柔軟剤(近くの人の衣類、近隣の洗濯物から漂うものも)、香水、たばこ、農薬、殺虫剤などあらゆる場面で化学物質が使われ、体に取り込んでいます。
大量に摂取した場合はもちろん、微量でも長期間繰り返し取り込んで身体の適応能力を超えると発症するといわれています。化学物質に対する感受性は個人差が大きく、発症の仕組みなど未解明のことも多い。食物アレルギーや花粉症のように誰もが突然発症する可能性があります。国の専門研究機関はなく、世間の認知度が低いのが現状です。
症状は、鼻がむずむずする、目がチカチカする、喉がヒリヒリするといったものから、呼吸困難など命に関わるものまで人によって異なり、他の病気と見分けがつきにくいことが多いです。
治療法は原因物質を突き止めて取り除き、それらとの接触を避ける。個々の症状に対しては対症療法をして養生するとされていますが、専門の医療機関が少ないので治療に行くことすらできない人も多いです。環境省の委託で東海大医学部が行った調査によると、化学物質を感じたり体が反応したりする人は予備軍も含めると日本人口の約7.5%(2015年)と推計されています。

情報の共有と理解重要
本当に必要か?考える機会を

─催しで上映したドキュメンタリー作品とは
テレビ金沢(石川県)が制作、日本テレビの「NNNドキュメント」で昨年2月に放送された「化学物質過敏症~私たちは逃げるしかないのですか~」です。
新築した職場でシックハウス症候群を発症し、家のリフォームで悪化。農薬散布の時期になるとひたすら山奥に引きこもる生活を9年続ける女性。夫と友禅染(化学染料を使う)の仕事を40年してきて、ある日突然呼吸困難に陥り、家具や衣類などにも反応するようになって自宅に住めなくなった女性などが登場します。発症すると一様に当たり前に過ごしてきた生活が困難になっていきます。
また、小学2年生の時に発症し、教室や教科書のインクに反応して頭痛を訴え、学校に行けなくなってしまった女の子のケースは、母親も同じ化学物質過敏症です。父親は仕事を辞めて家族をサポート。学校に理解を求め、教室を改修してもらい女の子は学校に通えるようになりました。
職場で防毒マスクをしながら働く女性は、同じ化学物質過敏症で休みがちな息子の学校の児童に向けて病気の話をし、「逃げるだけでは進めないので理解を求めていきます」と話します。患者同士がつながり、情報を共有したり苦しみを分かち合ったりする場面もあります。

─今回の催しを企画した目的は
柔軟剤や香水などを強く感じる機会が最近増えたこと、見えにくい苦しさを1人でも多くの人に知ってほしいという思いから、自分で立ち上げた「村の小さな上映会」で取り上げることにしました。
私は長年、自然食品や自然化粧品にこだわっていて、2005年に長野市から白馬村に移住してからも一貫して自然に寄り添った生活や活動をしてきました。今は便利で魅力的なものが次々と生み出されていますが、それは自分にとって本当に必要なものなのか?良かれと使っても害になり得るものかもしれない、と考えてみることが求められているかもしれません。
催しでは化学物質過敏症の当事者にも話をしてもらいました。作品を見た人からは「病名すら知らなかった。自分たちは何をしたらいいのだろうか」などの感想も寄せられていたので、みんなで少しずつ学んでいけたらと思います。

問い合わせは「村の小さな上映会」のフェイスブックメッセージ