スキー・スノーボード用 白馬発期待の「鹿革グローブ」

白馬スポーツと職人が共同開発
新ブランド育て全国、世界へ

なめらかな光沢と肌触り、軽くて丈夫なのに蒸れにくい―。そんな雌鹿革の特性を生かしたスキー・スノーボード用のおしゃれで高機能な「大人のグローブ」が完成した。
手掛けたのは、今年創業50周年を迎える白馬村のスポーツ用品店「白馬スポーツ」。村内在住の革職人と共同開発し、プロのスノーボーダーや常連客らのニッチな声を「形」にした。同店初のオリジナル商品だ。
これを機に鹿革製品の新ブランド「DSP(Deer Skin Products)」も立ち上げ、「白馬発、世界へ」と意気込む。
若者のスキー離れ、暖冬による雪不足に加え、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でさらに客足が遠のいた今季。「目玉商品になれば」と期待する。

修理して長く強み生かして

「最大の強みは、自分に合ったグローブを修理して長く使えることです」
そう話すのは、JSBA(日本スノーボード協会)公認のプロスノーボーダーとしても活躍する「白馬スポーツ」(白馬村北城)の竹林康さん(47)。国産の雌の鹿革を使ったスキー・スノーボード用のオリジナルグローブは、村内の革職人、渡辺一樹さん(39)と共同開発した。
価格は2万1890円から。決して安くはないが、同店が販売から修理まで一貫して担うため、安心して長く使うことができる。
市販の革グローブは中のインナーと一体型が多い。そのため、汗で中が蒸れ、使い続けていると臭いがするようになる。顧客からそうした悩みを聞いたのが、商品開発に至った始まりだ。
通気性に優れ、牛革のように水にぬれても縮むことがない鹿革の特性に着目。インナーも洗濯できるように取り外し可能にした。弱点は革に引っかき傷が付きやすいこと。「それも一つの味として、愛着を持ってもらえれば」と竹林さん。
親指、人さし指、その他に分かれた「スリーフィンガータイプ」と、指先がつながって保温性が高い「ミトンタイプ」の大きく2種類。スリーフィンガーは人さし指が使え、手袋をしたままでも細かい作業ができるよう、顧客の要望に応えた。
革のパーツごとに色が選べるのも特徴だ。黒、茶色、ワイン、キャメル、ナチュラルの5色。男女兼用でS・M・Lの3サイズ。スリーフィンガータイプを購入した30代の男性(上田市)は「色が選べてオリジナリティーを出せるのがいい。使い込んで革の独特の雰囲気を楽しみたい」。
店の近くに革細工の工房を構える渡辺さんは「一つ一つしっかりと作り込んだ。地元密着の店として、互いに地域を盛り上げていけたら」と期待する。
JSBAの現役最年長プロスノーボーダーで、白馬村在住の相澤盛夫さん(57)にテストを依頼。実際に使ってもらい、指の太さや深さなどミリ単位で改良を重ねた。滑走中、雪上やアイスバーンに触れて傷みやすかった指先部分は、新たに補強し直すなど来季に生かす。

SNSで紹介「反響」に驚く

構想から2年。今季から受注・販売を始めた。会員制交流サイト(SNS)で紹介すると、すぐに80個余りが売れた。「こんなにも反響があるとは」と、2代目の松沢喜彦店長(55)。自ら工夫しニーズに合わせて作った新商品への反響に驚いた。「大手にはできない地元の店ならではのニーズをもっと掘り起こしたい」
かつてないほどの雪不足に、新型コロナウイルス禍による観光客やインバウンドの外国人の激減が加わり、今季の売り上げは前年比25%減となった。「待っているだけでは何も始まらない。白馬で生まれた新ブランドを育て、全国、世界へと発信していきたい」。竹林さんは専用のホームページも作り、PRにも力を入れる。
11、12日は来季に向けた新作グローブの展示予約会を店で開く。11日は午前10時~午後6時半、12日は午後5時半まで。2日間に限り、特別価格で注文を受け付ける。同店電話0261・72・2329