素材の個性光る独創的な家 山﨑美智春さん・奈奈さん夫婦

完成まだ先工夫に意欲あふれ

立方体に整形せずに屋内に据えた大きなケヤキと、それを支えに設けた螺旋(らせん)階段、ツガとクリを幹の形を残したまま室内外から見えるよう据えた柱、茅葺(ぶ)きの丸い庇(ひさし)…。見るからに楽しげでユニークな家が、松川村板取に現れた。
家主は、電気工事設備会社に勤める山﨑美智春さん(36)と、タイ式マッサージを施す奈奈さん(37)夫婦。自宅を建てる際、「木を生かしたオリジナリティーのある家に」と友人たちに相談し、アイデアを練った。
3月末には、奈奈さんも関わるフリースクールのイベントに家を提供。室内も室外も遊び心満載の空間に、訪れた大勢の親子の笑顔があふれた。「まだいろいろ手を加える予定です」と美智春さん。山﨑家が完成するのはまだ先だ。

地元の木を柱に山中歩き回って

山﨑美智春さん、奈奈さん夫婦が家の建築に着手したのは2018年春。敷地内にあった大きなケヤキをどこかに使おうと考え、林業を営む知人に切り倒してもらい、2人で皮をむいた。その木が現在、螺旋階段の中心に立つ柱になっている。家づくり全般を請け負った友人の大工、東稔倫(としみち)さん(41、安曇野市穂高有明)に相談して決めた。
同年5~7月、美智春さんは村内の馬羅尾(ばろお)高原で柱に使う木を探した。山﨑家の山は奥地にあり、簡単に木を切り出せないことが判明。それでも地元の山の木を使いたいと思っていた美智春さんは、切り出せそうな場所を歩き回り、気に入った木を何本か見つけ、使えるかどうか東さんに確認してもらった。
「そこからが結構、大変だった」と奈奈さん。法務局や村役場に足を運び、その木がある山の持ち主を探し、夫婦で交渉して大きなツガとクリ計3本を購入。それらは家の四隅を支える重要な木となった。ベランダは敷地内にあった杉の木で支えた。

職人の友人の腕光る茅葺きの庇

茅葺きの丸い庇は、螺旋階段の外側に丸くはみだした壁に取り付けた。茅葺き職人の友人、渡辺拓也さん(33、長野市戸隠)の腕をどこかに生かしたいと考えていた美智春さんに、知人の建築士、吉田美穂さん(47、安曇野市穂高有明)が提案。100束ほどの茅を使い、伝統の技で独特の形に仕上げた。
板葺きの大きな庇には、美智春さんのこだわりで2000枚以上の板を使った。先を自分で丸く加工し、奈奈さんの手を借りて2カ月ほどかけて彩色。プロに葺いてもらった。
外壁には、長野市の千曲川沿いから採取した土を塗った。自然の味わいを出したかったといい、知り合いの左官職人に相談して作った。「雨樋(あまどい)も竹で作りたい」。美智春さんは、さらなる工夫に意欲を見せている。

遊び心満載の家イベント活用も

3月27日、大北地域を拠点に活動するフリースクール「コミュニティー・アルピョン」が山﨑家でイベントを開いた。子どもが子ども向けに開いた「店」などが人気で、ユニークな家は催しを楽しむ人たちでにぎわった。「これからも私が一緒に企画できるものがあれば、この家を提供したい」。奈奈さんはそう言って笑顔を見せた。