松本の演劇文化考える時間に 串田和美さんインタビュー

猛威をふるう新型コロナウイルス感染症。信毎メディアガーデンでも数々のイベントが中止となっています。文化活動が行えない現状や不安な心を、演出家で信毎メディアガーデン企画プロデューサーの串田和美さんはどう捉えているのか聞きました。

活動できない不安の中

本来なら4月はルーマニア・ノビサド市で来年の公演の打ち合わせをする予定でしたが、できませんでした。3月からずっと家族と松本に滞在しています。
松本を拠点に活動する劇団・TCアルプのメンバーも、予定していたほとんどの公演が中止になって大騒ぎ。集まりたくても集まることができません。
いつも目の前のことに追われていた毎日。このまま走れるだけ走ろうと思っていたけれど、急にぽっかりと時間が空いてしまいました。演劇関係者は皆、同じ。愚痴を言い合っても仕方ないので、直接は話さないようにしています。
気が滅入るので、1日に2回、自転車で走っています。走っていると風景しか目に入らないから発想が変わり、けっこうプラス思考になる。「あ、こんなこともできるんじゃないかな」とか、「面白い猫がいる」とか。アイデアをストックします。
不安もたくさんあります。戦争もそうだったように終わりが見えない。「不安がることの不安」というのか、不安によって自分の心が変わっていってしまうのも心配。過剰な警戒心で人を排除したり、感染した人を差別したりするような社会だけにはしたくはないです。
何年か前から地震や台風などが起きて、今回は感染症。これまで思うままに大自然を操ってきた人間に「神」のような大きな存在が復讐(ふくしゅう)しているのかとも思ってしまいます。
この状態が続くのは絶望かもしれないけれど、中途半端な希望でごまかさないで、きちんと絶望することが大切なんじゃないかな。例えば、人はいつか必ず死ぬ…。だったら生きている時に何をするかと考えるような─。絶望からの希望を。
本当の心のぜいたくを考え直す時かもしれません。耐えている時間の中で、未来に何かを開けるように。普段は思い付かないことを考えられる時間にしたいと自分に言い聞かせています。
松本の文化演劇を、街なかでどう展開していったらいいかもじっくり考えています。こんな時間を僕に与えるのは危険かな。また何か驚くようなことを言い出すかもしれません。