駅前で愛され50年「とん亭」閉店

松本市中央1のとんかつ専門店「とん亭」が、5日の営業を最後に閉店した。松本駅前で47年間、店を続けてきた大畑忠義さん(76)、八重子さん(75)夫妻は、新型コロナウイルス感染症予防のため一時休業を模索したが期間を決めかね、高齢もあり店を閉じることにした。
忠義さんは福井県出身。都内で3年間修業した。得意のスキーで訪れた松本駅から見た景色に憧れ、東京に本店があったとんかつ店「やまとん」の松本店で働いた後、1973(昭和48)年に独立した。途中、店の場所は2度変えたが、一貫して駅前に構えてきた。
「常連の登山客は近くの銭湯『おかめの湯』(98年廃業)で汗を流してから、とんかつを食べて電車に乗るのがお決まりだった」と忠義さん。長年役員を務めた「松本駅前アルプス大通り商店会」は、20年ほど前は約100店の会員がいたが今は半減し、「当時は旅行や花見などを楽しみ、ソフトボールで銀行の支店を相手に熱戦を繰り広げたこともあった」と懐かしむ。
「50年近くがあっと言う間に過ぎた」と振り返る夫妻は、新型コロナウイルスの拡大で閉店を周知できず、「長い間支えていただいた皆さんに、感謝の気持ちを伝えられず心残り。紙面を借りて『ありがとうございました』と言いたい」と話した。