「特殊伐採」 若さ生かして林業に懸ける3人

地元の盛り上げに一役

木曽町の山路健太郎さん(32)が社長を務める「木曽林業」(同町新開)は、重機が入れない場所で高木に登り、先端から切り分けながら伐採する「特殊伐採」を主に行っている。林業に携わる人の多くが60歳以上という中、平均30歳の3人が若さを生かし、林業で働く道を切り開いている。

「仕事は楽しい」達成感が魅力

山路さんは特殊伐採歴9年で、25歳で個人事業主に。社員の山村勇太さん(32、同)は約1年半、森毅智(たかとし)さん(25、塩尻市広丘高出)は約1年の経験がある。
21日は木曽町内の生活道路沿いに立つ、高さ20~30メートルの5本を特殊伐採した。山村さんが命綱のロープを腰に巻き、昇柱器の蹴爪(けづめ)を木の幹に引っ掛けながら登っていく。風や移動の衝撃で木が左右に大きく振れる。山路さんの助言を受けながらチェーンソーで枝を払って幹を短く切り落とし、最後に森さんが根元から切り倒した。
「怖くないか?」と尋ねると、3人は口をそろえて「怖い」。「メンタルが大きく影響する。『怖い』と思いながら作業すると、いつもは登れる木が登れなかったり、思わぬけがをすることも」と山路さん。
それでも「仕事は楽しい」と3人。木は1本ずつ違い、耐性などを見極めながら作業するといい、「1本やっつけた(伐採した)時の達成感、てっぺんに登ったときにしか見ることができない特別な景色などが魅力」(山路さん)という。

設立から1年仕事も順調

会社設立から1年。この間、一度請け負った客の紹介や、木曽町・王滝村・木祖村・塩尻市楢川地区を管轄する木曽森林組合からの発注もあって仕事は増え続け、範囲は松本地方や南信地域にも及ぶ。
同組合参事の松原圭三さん(58)によると、特殊伐採は業者が少ない上、電力・鉄道会社からの定期的な依頼や、国などの補助金が出る森林整備事業などもあり、「今後も安定的な収入が見込めるのでは」という。

「壁」を越えて自信につなげ

土木業だった山村さんは入社前、休日に高校の同級生だった山路さんの仕事を手伝っていた。山路さんが難なく木に登る姿を見て「簡単にできるのでは」と挑戦したが、脂汗でびっしょりになっても登ることはできず、「悔しくて時間を見つけては登る練習をした」。次第に特殊伐採に魅了されて入社を決めた。
上松町出身の森さんも土木業から、憧れていた特殊伐採の仕事に転じたが、実際に作業をするといくつもの壁に直面。最近、高さ25メートルの木に挑み、隣の木に登った山路さんに励まされながら初めて登ることができた。「『壁』を一つ越え、自信につながった」と言う。
「仕事が忙しいので社員を増やしたい」と山路さん。より安全性が高い作業方法を取り入れたり、後進の育成にも意欲を見せ、「全国有数の林業地である木曽を、若い自分たちの手で盛り上げたい」と意気込む。