デリバリー 信大生が新規参入

「モトデリ」起業 浅川雄介さん
店の魅力も伝える配達員に

新型コロナウイルス感染拡大で外出自粛要請が出ている中、便利なのが、飲食店の料理持ち帰り(テークアウト)と宅配(デリバリー)のサービス。需要も増えてきている。
そんな事業に新規参入したのが、信大経法学部2年の浅川雄介さん(21、松本市埋橋)だ。「モトデリ」と銘打ち、信大生の友人6人をアルバイトとして雇い、提携する市内の個人飲食店の品を送料一律400円で宅配する。配達の範囲は飲食店から3キロ圏内。
今のところ、提携する飲食店は1店のみだが今後徐々に増やし、事業拡大を図る。
「コロナ禍の終息後は、働き方をはじめ社会のあり方が間違いなく変わってくる。それを見据えたサービスにしたい」。信大生起業家の目がきらりと光った。

今できることを 2週間で旗揚げ

「本当に働いていいのか」
4月2日、浅川雄介さんは松本市の駅前大通り沿いにあるブックカフェ「栞日(しおりび)」の店主、菊地徹さん(33)に問い掛けた。3日後から同カフェでアルバイトをすることになっていた。
「今の情勢で僕を雇うのは厳しいのではないか。代わりに何かできることはないか」。そう考えた浅川さんは同カフェのメニューを宅配するサービスを思い付き、菊地さんに提案。予定通りアルバイトとして雇われた浅川さんは、仕事の合間に菊地さんと2人で、宅配をするならどういうあり方がいいのか、アイデアを出し合った。
栞日の事業として行うのか、都市部で人気のウーバーイーツのように配達員を「自営業者」という位置付けで実施するか─。そんな選択肢も浮上したが、浅川さんは「自分で責任を取りながら、『コロナ後』も継続してやっていきたい」と起業を決断。栞日のアルバイトをしながら、宅配事業をしていくことになった。
それから友人らの協力を得て試験的に宅配を実施。問題点を洗い出しながら、配達中の事故などを想定し保険への加入などを済ませて、決断からわずか2週間で事業をスタートさせた。
現在は栞日が唯一の提携店。午前11時~午後3時、注文に応じてキーマカレーなどの料理を配達する。合計金額1000円以上が注文を受ける条件。配達時間も指定でき、「今すぐ」の要望には、注文を受けてから30分~1時間で届ける。
注文が入ると配達員を手配。配達員は店へ行き、注文の品を宅配バッグに入れ、自転車で届ける。「今、小さな個人店は現金を必要としている」として、支払いは現金のみ。希望すれば配達員と接触しない形の受け取りや支払いにも対応する。提携店は、宅配1件につき送料200円をモトデリに支払う。

コロナ終息後も続くサービスに

新型コロナウイルス拡大に伴う外食需要減の禍中にある個人飲食店の力になりたいとの思いから生まれたモトデリ。浅川さんは、コロナ終息後の社会を見据え、いずれかの段階で、配達員が店の魅力を伝えるなど配達員と顧客との間で温かな交流が生まれるようなサービスを目指す。
「配達員自身が提携店のファンであるのが理想的。店の空気感も伝えられる宅配にしたい」。ウーバーイーツなどの大手が地方に普及しても生き残っていけるような戦略を考えている。
「モトデリをきっかけに、地元の魅力的な飲食店を知ってもらえたらいい。外食できるようになった時には、モトデリで利用した提携店に実際に足を運んでもらえたら何よりうれしい」と話す。
菊地さんは「人々は今、『密』を避けなければならない中で、恐らく『親密さ』を求めている」と指摘。「店内での飲食、テークアウト、デリバリーと、それぞれの楽しみ方が広がっていけばいい」と期待している。

【メモ】
モトデリへの注文は無料通信アプリ「LINE(ライン)」から。QRコードを読み込んで友だち登録し、送られてくるメッセージに従って利用する。メールはinfo@motodeli.jp