木曽町のみいこ「モデル猫生」に幕

作品3万点一つ一つが思い出

花火を手(前足?)に颯爽(さっそう)とポーズを取るのはモデル猫の「みいこ」。見知らぬ場所や人混みの中でもおとなしく、火も怖がらない。
飼い主は、木曽町福島で写真館を営む岡本敦史さん(60)。10年以上前から県内外のさまざまなイベント会場や観光地に赴き、趣味で撮影している。地元木曽町の観光ポスターに採用された作品も。近隣はもとより各地のイベント会場でも知られた人気者だ。
専用の衣装や小道具はほとんど岡本さんの手作り。花火などを持っているように見えるのは、ワイヤでつって宙に浮かせたり、固定したところに前足を添えたりと工夫している。
捨て猫だった「みいこ」。体調を崩し療養していたが、15歳の誕生日を来月に控えた今月8日、「モデル猫生」の幕を閉じた。

飼い主の岡本さん08年から本格的に

子猫のころからおとなしかった「みいこ」。その性質を見込んだ岡本敦史さんは「ほかの人が撮れない写真」を目指し、外出先での撮影のため「ポーズをとった状態でシャッターを切るまで待てる」訓練を施した。3歳頃にはできるようになり、2008年から本格的に撮影を開始。県内各所のイベントや、年中行事、観光名所などにも足を運んだ。
作品は写真共有サイト「フォト蔵」に「MR2」のニックネームで投稿。その一つがイベント関係者の目に留まり、地元の「木曽踊り」をPRする観光ポスターに採用された。「片手」を挙げ、後ろで踊る人たちとぴたりと同調した瞬間を捉えた。
奈良井宿(塩尻市)で撮影した1枚は、火を怖がる様子を見せないばかりか、むしろうっとりとした表情を浮かべている。これには周囲の子どもたちもびっくり。岡本さんも「さすがに驚いた」と振り返る。
衣装は、各団体のレプリカ法被だけでも20種、浴衣は50種以上。リアリティー追求のため、着用する前年に実物の「取材」も行う。イベント関係者に「猫用の衣装を作りたい」と申し出ると、驚かれはしても快く引き受けてくれ、写真を撮ったり材質の確認などができた。
文字や絵柄は、パソコンで画像データを読み取りプリンターで出力すれば同じものができる。色の「あせ」具合もそろえようと、当日は色味を変えた複数枚を持参した。

地元盛り上げに貢献してくれた

開田高原の畑に捨てられていた「みいこ」を保護したのは05年6月26日。獣医師の見立てから6月1日を誕生日と決め、毎年ケーキで祝い、わが子同然にかわいがってきた。出会いから15年を前に訪れた別れ。「みいこファン」という木曽おんたけ観光局の須藤邦男さんは「観光客にも人気で地元と一緒に盛り上げてくれた」と惜しんだ。
「みいこ」を主役に岡本さんが撮影してきた作品は約3万点。その一つ一つが「みいこ」の思い出となった。