健康づくり→リハビリ活用 「インターバル速歩」心疾患患者に

可能性広げる第一歩に

ややきついと感じるくらいの速歩を3分、その後、息を整えるゆっくり歩きを3分、これを1セットとして繰り返す「インターバル速歩」。体力や筋力の向上、生活習慣病改善に効果があるとされる松本発祥の運動法を心疾患のリハビリに活用する試みが始まった。
インターバル速歩の効果を研究・提唱してきた信州大。リハビリ法としての効果を検証する大学院医学系研究科の取り組みが公益財団法人住友電工グループ社会貢献基金の寄付講座に認められ、医療現場での本格的な実験がスタートした。4月から3年間、信州大とあづみ病院を拠点にデータを集め、リハビリ法としての確立を目指す。
同速歩を考案した、信大の能勢博特任教授(67)は「この運動の医療分野での可能性を広げる第一歩になる」と期待している。

データを収集 手応えを感じ

池田町の北アルプス医療センターあづみ病院のリハビリテーション科。同町の山本恵美子さん(71)は理学療法士3人が見守る中、約30メートルの廊下で「インターバル速歩」を実践した。速歩を3分、ゆっくり歩き3分の1セットを5回、計30分。やり終えると山本さんの額には汗がにじみ、タオルで気持ちよさそうに拭った。
山本さんは昨年、心疾患の一種で脈が遅くなる「洞不全症候群」を患い6月に入院。ペースメーカーを植え込む手術をした。リハビリの一環でインターバル速歩に取り組み始めたのは約2カ月前。今は週2回行っている。
山本さんは「最初はだらだらとしか歩けなかったが、今はきびきびと歩ける。普段歩いていても疲れなくなった」。見た目もスリムになり「積極的に生きていこうと思えるようになった」と、気持ちの上でも前向きになっている。
理学療法士の一人、吉原恭子さん(42)は山本さんの歩く姿を見て「以前より、歩幅が広くなった。姿勢も良くなり、視線を上げて歩けるようになった」と話す。
同科は約1年前から心疾患患者のリハビリの方法として自転車をこぐ有酸素運動や負荷を掛けた運動などのほか、試験的に同速歩を加え実践。今年4月からは、吉原さんと永富丈博さん(30)、赤羽弘泰さん(29)がチームを組み、本格的に心電図や心拍数などを計測、データを収集している。現在は10人の患者が協力している。
「最初は強度が強過ぎると思ったが、適している」と永富さん。具体的な効果などデータに基づく細かな検証はこれからだが、手応えをつかんでいる。

約20年前から実績積み重ね

インターバル速歩は約20年前、当時、信州大医学部教授だった能勢博特任教授が考案した。2004年に同大内にNPO法人熟年体育大学リサーチセンターを設立。松本市内の地区福祉ひろばなどを拠点に中高年を中心に指導する。
1日5セットを週に4日、5カ月以上続けた8700人からデータを集め、体力の20%向上、高血圧・高血糖・肥満の20%改善、医療費の20%削減につながるといった効果を導き出している。
こうした実績が評価され寄付講座に認められ、リハビリへの活用に着手。また、「IoT(モノのインターネット)を活用した心臓リハビリテーションのための在宅・遠隔型個別運動処方システム」の開発も並行して行うことになった。
能勢特任教授は「インターバル速歩はコストがかからず、取り入れやすい。リハビリ方法として普及すれば医療費削減などにもつながる」とみている。
インターバル速歩の体験は、熟年体育大学リサーチセンター(℡0263・37・2697)へ。