2020.11.19 日本地域情報コンテンツ大賞・タブロイド部門で2年連続優秀賞

「学校行きたくない」対応は?

臨時休校が終わりようやく学校が再開しました。今までにない長い休みの後ということもあり、「学校へ行きたくない」という子どももいます。このようなとき親はどう声を掛けたらいいのでしょうか。第1回長野県・不登校を考える県民のつどい(2010年)実行委員長で、不登校や子育て支援に長年携わる茅野市議の木村かほりさん(49)に話を聞きました。

学びの場は学校以外にも

―「学校に行きたくない」と言われたとき、どんな言葉を掛けたらいいですか
私が一番望むのは「行っても行かなくても大丈夫だよ」という言葉です。親はつい「行かないと行けなくなっちゃうよ」と言いがちですが、そうではなく「あなたが選んでいい」ということを伝えてほしいと思います。
ただ、このとき絶対に間違えてはいけないのは、行っても行かなくても「いい」ではないということです。この言い方だと、「選んだのはあなた」という責任を押し付けることになり、仮に子どもが「行かない」を選択したときに、自分は駄目な人間ではないかと思ってしまうからです。
―「行かなくても大丈夫だよ」と言ってみたものの、今日行かなかったら明日も行けず、行かない日が続くとどんどん行けなくなってしまうかもと思ってしまう。そして休ませておきながら「行けばよかったのに」と子どもに言ってしまいます
「本当は学校に行ってほしい」という気持ちが顔にも態度にも出ちゃいますよね(笑)。私もそうでした。だから「行かない」を選択した子どもを責めてしまうのです。
親に一番知ってほしいのは、「学校へ行かなくても駄目にはならない」ということです。2017年に教育機会確保法という法律が施行され、「休んでもよい」ということと「学校以外の場の重要性」が認められました。
子どもが不登校になった時点で、親に「大丈夫」と思う気持ちがあるかないかでその後の状況が本当に変わってしまいます。「1日だろうが2日だろうが1カ月だろうが、休んでもいろいろな方法があるから心配しなくていいよ」と声を掛けてあげるのがベスト。子どもは驚くほど母親の顔色を敏感に感じ取っています。
頭痛や腹痛などを訴えていたのに、学校へ休む連絡をした途端、元気になるケースがありますよね。学校に行くことが苦痛で痛みが起きているので、学校に行かないでいいと決まって収まるのは当然です(笑)。
―自分の対応が甘やかしになってしまうのではないか、子どものためにならないのではないかと思ってしまう。周りの目も気になります
私たち親世代が子どもだった時代は、学校へ行かないという選択肢はほぼありませんでした。「学校へ行かない=悪」に思われていたくらいです。
よく言われるのが「義務教育だから子どもは学校へ行くのが仕事」ということ。「学校は子どもの義務」と言う人が結構います。言葉にしなくても感覚的にそう思っている人は多いです。
でも、学校へ行くことは義務ではありません。義務教育とは、子どもたちが教育を受けなければならないという義務ではなく、国や大人が子どもたちに教育を「受けさせる義務」ということ。つまり子どもの義務ではなく親の義務です。
学校以外の学びの場が増えている今、親もこうした状況を知っておくことが大切です。親が知っているだけで子どもは救われます。

【きむら・かほり】29歳、23歳、21歳、小学校3年生の4人の母親。2、3番目の子どもの時に不登校を経験。それを機に「親の会」を設立。「コロナ禍で子どもの教育が後回しにならないようにしたい」と言う。

母親たちの体験談 良かった言葉・行動
「子のペースで」「誰かに相談も」

「学校へ行きたくない」と言われたことがあるお母さんたちに、その時の対処などを聞きました。
―言われた時、どんな声掛けをしましたか
「学校で何かあったのかな?お母さんは〇〇(子どもの名前)の味方だからね」(松本市、イヨンさん、子ども8歳)
「素直に行きたくないと伝えてくれてありがとう」(松本市、M・Oさん、7歳)
―言われた時にした行動は
▼長く休みが続いて無理に行かせようとしたが逆効果だったので、学校と相談して登校できるようになるまで休ませた(北安曇郡、Akさん、9歳)
▼1年生だから疲れているだけだろうと思っていたが、何回か休みたいと言われたので夫と相談して1日休ませたらすっきりしたようだった(M・Oさん)
▼明確な理由がないときは着替えを手伝い、学校まで一緒に歩いた。様子によっては教室前まで行くこともあった(松本市、hus(‘)mamaさん、9歳)
▼本人が「行く」というまで家で過ごした。3時間目の途中から行きたくなり、送って行ったこともあった(松本市、おつかれ母さん、小学5年、2年)
―良かったと思う言葉掛けや行動は
▼親子だけで考えず、友達のお母さんに相談したり担任の先生に相談したりしたこと(イヨンさん)
▼休むことが癖になると困るので遊びには行かなかった。勉強はやろうと思えば1人でもできるけど、友達と遊んだりけんかをしたり、一緒に成し遂げたりすることは家ではできない。学校生活でいろいろ経験してほしいと伝えた(M・Oさん)
▼甘い親と思われても行き渋る期間は毎日一緒に登校し、教室で「いってらっしゃい」のタッチをして先生にバトンタッチ!泣きわめくわが子を抱き締めてもらうことあった。そこまでして行かせるべきか悩んだが、学習発表会で頼もしく楽しそうに友達と発表する姿を見て、子どもと一緒に頑張ったことは無駄ではなかったと感じた(松本市、K・Sさん、7歳)
▼仕事があるので朝の時間がないときは焦り、子どもにきつい言い方をして逆効果だった。職場の人やカウンセラーの言葉に助けられ、少しくらい学校に行かなくても問題ない、子どもの心を落ち着かせることが大切だと分かってきた。行きたがらないときは無理に登校させず、「明日は登校できるといいね」と様子を見たら、子どもなりのタイミングで登校できるようになった(hus(‘)mamaさん)
▼本人のペースで登校できるようにした。担任や教育委員会と支援会議をし、周囲への協力を求め、相談をした。「学校に行きなさい」という雰囲気を出さず、今を楽しく過ごせるようにした(Akさん)