木祖村村の曲で店主らが歌い踊る

がんばれ木祖村プロジェクト
地域の人たちの動画で笑顔に

「十石屋で酒と缶詰買いふきのとうで髪を切ってアート美容院でも髪切ろう」
木祖村の店を歌詞に織り込んだ「木祖村ブルース」。曲に合わせて、歌詞に登場する店の店主らが商品や商売道具を手に、ある人は照れ笑いを浮かべ、ある人は意欲満々で歌って踊る音楽プロモーションビデオ(MPV)の制作が進む。
毎年6月、同村に県内外の芸術家が集まって開く芸術祭「木曽ペインティングス」が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で11月に延期。同祭実行委員会の岩熊力也代表(50、木曽町日義)らが村を元気付けようと「がんばれ木祖村プロジェクト」と銘打ち、MPVや、街道沿いに絵を描く様子などを撮影した動画などを制作、ネットで公開する計画だ。

薮原宿の22店舗盛り込んだ歌詞

「木祖村ブルース」は「木曽ペインティングス」に参加する都内在住の画家が作詞作曲と歌唱を担当。薮原宿の街道沿いにある22店舗の店名や商品を歌詞に盛り込んでいる。思わず口ずさんでしまいそうな温かみのあるメロディーだ。
「がんばれ木祖村プロジェクト」を企画したのは、岩熊力也さんのほか、村の地域おこし協力隊員で画家志望の大沢理沙さん(24)、廃業した村内の旅館「藤屋」で滞在しながら創作活動をする画家の近藤太郎さん(24、東京都)。
音楽プロモーションビデオ(MPV)は5月20日から撮影をスタート。カメラと編集は岩熊さん、振り付けは近藤さん、出演交渉は大沢さんが担当した。取材した日は飲食店や理容店など5店でカメラを回した。
「十石屋米酒店」の店主、西尾淳三さん(68)は近藤さんに演技指導を受け、歌詞にある缶詰と新商品の大判焼き「木曽源流焼き」を手に出演。照れ笑いを浮かべながら曲に合わせてリズムを取り「楽しく踊れた。村をアピールする良い取り組みだね」。
理髪店「ふきのとう」の店主、岩原則幸さん(63)は、くしとはさみを手に絶妙なリズムでダンス。「清水屋食堂」の店主、高木勇さん(87)は名物の中華そばをすするようなしぐさで踊り、たまたま通り掛かった宮川静代さん(85)にも声を掛けて飛び入り参加してもらうなど、撮影は順調に進んだ。岩熊さんも「指示以上のことをしてくれる人もいて、皆さんすごい」と、住民の乗りの良さに感心しきり。

窓にデザインや住民へエールも

プロジェクトでは、薮原宿の商店や空き家に絵を描く様子を収録する「ウインドーペインティング」も実施。3人で手分けして描き始め、商店の窓に歴史や家族に関する絵柄をデザインする。
廃業した旅館の窓には、コロナの影響で中止になった「薮原神社例大祭」に登場する獅子と「社会的距離」を題材にした「DISTANCELOVE」を描いた。「通りを歩きながらでも楽しめる」と岩熊さん。
ほかに、県外にいる「木曽ペインティングス」参加の芸術家が、芸術祭に出展する自身の作品を紹介したり、住民にエールを送ったりするビデオレターも制作する。
MPV、ウインドーペインティング、ビデオレターの3企画を約7分間の動画にまとめて、県の「頑張るアーティスト応援事業」に申請。採択されれば、県の専用サイトで7月ごろ公開される。採択されなかった場合は、独自にネットで発信する予定だ。
岩熊さんは「地域の人たちと一緒に作った動画を家庭で見て、少しでも笑顔を取り戻してくれたらいい」と話している。