特定外来生物「ガビチョウ」 松本平で営巣撮影

生態系に害を及ぼす恐れがある特定外来生物「ガビチョウ(画眉鳥)」。信州でも近年、目撃例が報告されていたが、このほど松本平で巣立ち直後のひなの撮影に成功、この地域で営巣・繁殖している実態が裏付けられた。
ガビチョウを追い始めたのは2016年4月12日。塩尻市片丘の北熊井城址(じょうし)で満開の一本桜の撮影中に突然、遠くまで響く大きな声でさえずり続ける姿を目撃。以来4年間、中信地域のあちらこちらに出掛けては、その姿を探し求めてきた。
体長は22~25センチ。目の周りから後方に眉状に延びる白い模様が特徴。飼育されていたペットが野生化したと考えられる。昆虫や果物を食べ、同じ地上採食性の在来種と競合する可能性が指摘されている。

「巣立ちびな」繁殖を裏付け  4年に及び記録

【鳥の姿をたどる】
2016年4月、塩尻市片丘地区で初めてガビチョウを撮影。同年7月までの間に松本市の内田、中山、里山辺、浅間温泉の4カ所でカメラに収めた。その後、同市のアルプス公園、芥子望主(けしぼうず)山、安曇野市の光城山、長峰山、押野山へと撮影ポイントが延びていった。
ガビチョウは薄暗く密集したやぶ、特にささやぶを好む。ウグイスの近くにいることが多いとされる。「この環境はいそうだな」。そう直感したフィールドに、夜明け前に到着し鳴き声を待つ。
今年まで4年間で、生坂村、池田町、大町市南部を含め計12カ所で撮影できた。撮影場所をつなぐと、松本平の東山山麓と里山沿いに、ガビチョウの生息ラインがおぼろげながら浮かび上がる。大町市南部で冬季に確認できなかったのは、地上採食性で雪深い場所では餌を探しづらいためか。撮影できた場所の標高は、615メートル~930メートルだった。
【ひなを撮影】
営巣と繁殖を裏付ける「巣立ちびな」を撮影できたのは今年の5月22日午前だった。
前日の午後6時、営巣地ではないかと気に掛けていた松本市内のある場所へ急いだ。見通しの悪いやぶに目を凝らす。親鳥が、出入りする茂みから3つ奥の茂みまで、密集したやぶの中を忍者のように12メートルほど移動している。ひなの鳴き声は聞こえないが、営巣を確信したところで日没。
翌日午前4時半に現場へ。やぶの中が少し見える位置を探した。8時、カメラを超高感度に設定し、600ミリの望遠レンズで約30メートル先を狙う。8時55分、手前の茂みに親が飛び込んだ。暗く、遠く、肉眼ではほとんど何があるのか分からないやぶに向けてシャッターを切る。液晶画像を見て驚いた。ジャングルジムのように絡み合ったつるに隠れるようにして巣立ち直後のひなが6羽、写っていた。
「松本平で営巣が撮影されたのは初めてで快挙」。ガビチョウに詳しい信州野鳥の会顧問で県鳥獣保護管理員の丸山隆さん(70)=松本市南原=はそう述べ、「今後、確認頻度が高くなり分布拡大が加速すると、生息環境を共有する在来種への影響が懸念される」と指摘。野鳥写真家の太田信行さん(71)=同市小屋南=は「県内の撮影地で時々鳴き声を耳にする」とし、同じスズメ目のウグイスやヤブサメの生息への影響を心配した。

【ガビチョウ】中国南部から東南アジア北部にかけて生息する。中国では鳴き合わせ会や手乗りを楽しむポピュラーな飼い鳥。日本へは1970年代に大量輸入されたが、ブームの後、逃げ出した個体が野生化。九州北部から始まり、関西、関東、中部、南東北へと分布を広げている。
県環境保全研究所(長野市)がまとめた2011(平成23)年の研究報告によると、県内では03年に初めて軽井沢で確認。05年以降、目撃例が増え、佐久や諏訪、北信でも見られるようになった。

中国南部から東南アジア北部にかけて生息する。中国では鳴き合わせ会や手乗りを楽しむポピュラーな飼い鳥。日本へは1970年代に大量輸入されたが、ブームの後、逃げ出した個体が野生化。九州北部から始まり、関西、関東、中部、南東北へと分布を広げている。
県環境保全研究所(長野市)がまとめた2011(平成23)年の研究報告によると、県内では03年に初めて軽井沢で確認。05年以降、目撃例が増え、佐久や諏訪、北信でも見られるようになった 。
(丸山祥司)

ひなの写真は紙面で。