多彩な素材に形状 コルクスクリュー収集家・池田六之助さん

“欧州行脚の集大成”お宝450点

素材は、鉄や真ちゅう、象牙など、形状も実用性重視のタイプから、人間の顔、動物、細かな彫刻を施した品と、いろいろあるコルクスクリュー。その魅力にはまり、集めているのが、松本市の無職、池田六之助さん(87、沢村3)だ。
ドイツの青空市で、1900年代初期の鉄製のスクリューを見つけて購入したのが35年前。ホテルに帰り早速試すと、その使いやすさに驚いた。「指にしっくりなじむ」。それから海外へ行くたび、骨とう店を巡り、地道に集めてきた。その数は約450点!
テレビの鑑定番組に308点を出したところ、計600万円の予想を大きく上回る1100万円の値が付いたことも。池田さんの「お宝」の一部を拝見させてもらった。

封を切る楽しさ想像させる品々

松本市埋橋2のフリーダムホール燦祥(さんしょう)館の1室。池田六之助さんが友人の佐野崇人さん(75、同市城西2)と、金ブラシを手に、鉄製のコルクスクリューを磨いたり、さび止めを付けたりしていた。形が単純なものはやりやすいが、バタフライ型になると作りが複雑で、1つ磨くのに2時間ほどもかかる。
5月中旬から手入れを始めたが、450点を磨くには、まだまだ時間がかかりそう。本格的に手入れをしたいと、東京の業者に依頼することにした。
池田さんが「愛着がある」と、まず見せてくれたのは、35年前に最初に買った1点。いとおしそうになでる。「形は単純だが、デザインされている。すごいなと思った。まさに職人技」
ほかに、鉄でできたT字型とか、てこ式の実用的なものや、握る部分が象牙や銀の装飾を施したものなど高級感漂う逸品も。ピクニックに持って行く折り畳み式、スクリューが入ると自動的にコルクが上がってくる優れもの、テーブルに固定して使う5キロ以上(!)はある大型のタイプ、つえのグリップがコルクスクリューとして使えるもの、瓶の口のほこりを取るブラシ付きなどなど。
中には、2本の脚の形になっていて広げて使うものもあり、「ちょっとエロティックだね」と佐野さん。遊び心もたっぷりだ。海外で出版されたコルクスクリューの本に載っているビンテージものを見て「こういうのが欲しいと探したこともある。どれもお気に入り」と池田さん。
道具としての利便性はもちろん、ワインを開ける行為そのものを楽しむ文化の存在が、多種多様なコルクスクリューから想像できるという。「来客時などに高級なワインを開ける際、とっておきのものを使ったのでは|と考えるのも楽しい」

欧州職人の技術たたえ伝えたい

ワイン産業の振興策として、信州ワインバレー構想を掲げる長野県。ワイン特区の認定や醸造所、気軽に楽しめる飲食店も増え、ワインはますます身近で気軽に、奥深く、楽しめる飲み物になってきた。ワインを語る人も増えたが、池田さんは「どんなワインもそもそも道具がなければ飲めないからね」と、ばっさり。
一方で「ワインスクリューを集めるような物好きは、日本では他にいないと思うよ」とも。35年間、ヨーロッパ各地の骨とう店を回って集めたコレクションの数々は、池田さんが「ヨーロッパ行脚の集大成」と位置づける大人の道楽だ。フランス、イタリア、スペインなどには、コルクスクリューミュージアムが隣接しているワイナリーもあるという。
「いつか、本を出版したい、博物館を造りたい」。ヨーロッパの職人技の素晴らしさをたたえる場を作り、日本の多くの人に知ってもらうことが次の目標だ。