あづみ野平林整形外科・平林院長に聞く―手指関節症「ヘバーデン結節」

40代になった頃から手指の第1関節が曲がってきて、痛みもある―。手指の変形性関節症には幾つかの病気がありますが、第1関節に起こるのが「ヘバーデン結節」です。加齢のせいと放置しておくと変形し指が動きにくくなってしまう場合もあります。日本リウマチ学会認定リウマチ専門医・指導医で、あづみ野平林整形外科(安曇野市堀金烏川)の平林洋樹院長(52)に病状や治療法などを詳しく聞きました。

どんな病気?―関節腫れ変形、似た病も

【ヘバーデン結節とは】
手指の第1関節が左右や前後に変形したり、関節の骨がこぶのように隆起してくる病気です。第1関節が腫れたり、炎症で赤くなったり、水膨れが生じたりすることもあります。痛みを伴うことも多いです。病名の「へバーデン」は発見者の名前です。
初期は手指の違和感やこわばりを感じることが多いです。1本の指から症状が現れ、次第に他の指に広がり、両手に生じることも多くあります。症状が出ては治まるという状態が繰り返され、やがて関節や骨の変形に至ります。痛みは徐々になくなりますが、1度関節が変形してしまうと元に戻りません。
同様の病気として、第2関節が腫れて痛む「ブシャール結節」があり、ヘバーデン結節の約20%がブシャール結節を発症します。
これらに似た症状を起こす病気として関節リウマチがありますが、関節リウマチは自己免疫に関わる疾患のため炎症を起こす仕組みが違います。第1関節に起きるヘバーデン結節とは区別しやすいですが、ブシャール結節を含め第2、第3関節などに起きた場合は関節リウマチも考慮し、血液検査などの精密検査をします。

どんな人が?―30歳以上3割、女性顕著

【どんな人がなりやすいか】
軽症例を含めると30歳以上の3割以上にみられ、年齢と共に増加します。一説には数百万人の患者がいるといわれます。男性も発症しますが、特に女性ホルモンの分泌が急激に減少する40代以降の更年期の女性に多いです。
原因は不明ですが、女性に多い理由として近年、抗炎症や腱の保護作用があるといわれる女性ホルモンのエストロゲンの分泌量減少が関わっているという説も出てきました。40代以降エストロゲンが減少することで、手指の関節の痛みや腫れを引き起こす可能性があります。エストロゲンの減少により関節痛や筋肉痛、骨粗しょう症など、さまざまな不調が起こりやすくなります。
またエストロゲンに似た働きをする成分に「エクオール」があります。大豆に含まれる「イソフラボン」が腸内細菌により変換されてできる成分です。40代以降の女性で、中でもエクオールが体内で作れない人がヘバーデン結節を発症しやすいといわれます。
へバーデン結節が遺伝するかどうかは不明ですが、エクオールを体内で作れるかなどの体質の遺伝はあるといわれます。母親の手指に変形がある女性の67%に変形があるというデータもあります。

診察・治療は?―保存療法や栄養補助も

【診察や治療、日常の注意点は】
診察は整形外科で受けられます。問診、視診、触診を行った後、レントゲン検査をして診断します。まれに関節リウマチを合併することもあるので、血液検査を行う場合もあります。
治療方針は保存療法が主流です。関節が必要以上に動いて炎症が悪化しないようテーピングで固定する場合もあります。痛みが強い場合には消炎鎮痛剤が処方されます。
保存治療でも痛みが取れず、変形がひどくなり美容や日常生活に支障がある場合には関節固定術などの手術があります。しかし関節を固定した場合、指の動きが制限されます。また最終的に関節が変形し、動かなくなれば手術したのと同様になることも多いです。当院では今のところへバーデン結節で手術をした症例はありません。
代替療法としてエクオールのサプリメント(栄養補助食品)を摂取することも勧められています。数カ月の摂取で痛みや指の動きが改善したという報告もあります。しかし現状では栄養補助食品なので、有効性についてはデータの蓄積が必要です。また、健康保険の対象ではなく全額自己負担になります。エクオールは大豆や大豆製品を食べることでも補えます。量の目安は1日10ミリグラム。豆腐なら半丁、納豆なら1パック、豆乳ならコップ1杯程度です。
家事や日常生活で手指は常に使います。痛みで家事がつらければ、家族にサポートをお願いし、ペットボトルが開けられないなら、開栓グッズを使うなど手指や関節に負担をかけない工夫も取り入れましょう。