
人生100年時代を最後の日まで元気で生きるためには、筋肉や骨の強化が必要-。こう提唱する諏訪中央病院(茅野市)名誉院長の鎌田實さん(72)。このほど発売したDVD「PPH(ピンピンひらり)」には、健康長寿のために鎌田さんが考案した「鎌田式」運動法や、実践している生活習慣などが収められている。その一部を紹介する。
DVDのタイトルには、寿命が尽きる最後まで、好きなことをして、長患いせず「ひらり」とあの世へ行く-という意味がある。鎌田さんが理想に掲げており、その実現にはフレイル(虚弱)にならないよう筋肉強化が重要で、「貯金より貯筋」と強調する。
【スクワットで病気予防 】
運動をして筋肉を強化すると、血糖値や血圧が下がり、「マイオカイン」という筋肉作動物質が分泌されて、がんや認知症、うつ病を予防する可能性があると報告されている。鎌田さんが勧めるスクワットは、体の中で最も筋肉量の多い「太もも」が鍛えられ、マイオカインを効率よく分泌させることができる。
【かかと落としで骨を強化 】
元気に歩くためには、骨も大切。かかと落としは、骨を再生する骨芽細胞に刺激を与えて骨密度を上げる効果が期待でき、骨粗しょう症予防に有効。さらに爪先を上げる運動で、向こうずねの筋肉が鍛えられ、ちょっとした段差につまずき転倒して、骨折などを防ぐ効果がある。
【運動で心も元気に 】
「1、2、3、4、5」と声を出しながらリズミカルに運動すると、セロトニンという“幸せホルモン”が出て、前向きな気持ちになる。また、運動によってテストステロンという“チャレンジングホルモン”が増え、人生の壁を突破する力も湧いてくる。「体を動かすと心も元気になる」という。
【タンパク質摂取も重要】運動と同時に、筋肉を作るタンパク質をしっかり取る生活「たん活」も呼び掛ける。高齢者は1日最低でも60グラム取ることが目安。肉や魚、卵、豆類、乳製品など良質なタンパク質の摂取を心掛けたい。
【口腔(こうくう)・社会的フレイルも予防 】
口の周りの筋肉が衰え、誤嚥(ごえん)性肺炎の原因にもなる「口腔フレイル」や、社会とのつながりが減ると心も弱くなる「社会的フレイル」にも触れ、口腔フレイル予防には、パ・タ・カ・ラの各行を口にする「パタカラ運動」を薦める。社会的フレイル予防には、家に閉じこもらずボランティア活動をするなど、社会との関係を持ち続けることの重要性を訴える。
【鎌田さんが、この他に実践していること 】
▽野菜を取る(野菜ジュースを毎日飲み、煮物やサラダ、野菜たっぷりみそ汁を食べる)▽減塩を心掛ける▽善玉菌を取り入れる(みそ汁、チーズ、ヨーグルトなど発酵食品を食べ、腸の働きを良くし免疫力を上げる▽好奇心を持ち、人生を面白がる-などだ。
鎌田さんは「コロナウイルスとの闘いは長期になる可能性があり、家にこもる時間が長くなると、フレイルや認知症の心配がある。しっかりと貯筋して虚弱にならないようにしてほしい」と話す。
※写真はDVDより
【DVDの注文はこちら】
鎌田さんが理事長を務める日本チェルノブイリ連帯基金(JCF)=松本市浅間温泉2=から発売されたDVDは2000円。収益金はチェルノブイリ、イラク、福島の被災地の子どもの支援に使う。注文はQRコードから。日本チェルノブイリ連帯基金 ℡0263・46・4218(平日午前9時~午後5時)。