市民参加型演劇 松本の良さ実感

「じゃり」に出演 田村真央さん
舞台で地元に恩返しをしたい

「誰でも自由に演劇に触れることができる松本って、実は東京よりもすごいかもしれない」と語るのは、塩尻市広丘野村出身の田村真央さん(21)。都内の大学で演劇学を専攻、将来は俳優を目指す。
演劇との出合いは中学生の時。まつもと市民芸術館(松本市深志3)が主催する市民参加の演劇講座「まつもと演劇工場」の発表を見て引き込まれた。
都内で学業と芝居に打ち込む中で、市民に近い松本の演劇スタイルの良さを実感した田村さん。16日から市民芸術館などで上演する劇団TCアルプの舞台「じゃり」に出演、演劇と出合った松本でプロとしての初舞台に挑む。

舞台に魅了され東京名門劇団に

本番に向けて熱気が増す稽古場。田村真央さんが、劇団TCアルプのメンバーや串田和美さんらの発想力に押されながらも、一生懸命に何かを表現しようとしていた。「台本がなくて、一からつくるのは経験したことがないスタイル。意見を言ったり表現をしてみたり、少し恥ずかしい時もあるけれど、今、できることをやっていきたい」と言う。
勉強と読書とバイオリンが、ずっと生活の中心だった。才教学園(松本市)中学校2年の時、「まつもと演劇工場」に参加している音楽教諭から「芝居に出るから」と誘われ初めて演劇を見た。舞台上では普段とはまったく違う姿になりきる教諭や、演じる人々のパワー…。それまで経験したことのない面白さを感じた。
松本深志高校1年の時、まつもと演劇工場に参加した。だが、その際に思ったのは「舞台の上で表現するのは自分には向いてないかな」。そして続けるのをやめたが、それでもことある度に演劇が頭にちらついていた田村さん。
心のどこかにあった「表現したい気持ち」が、再び舞台へと田村さんをいざなう。大学入試と並行し、加藤武さんや江守徹さんなどで知られる文学座(東京)の演劇研究所に応募、共に合格した。
明治大学文学部演劇学専攻と、文学座研修生の両立生活がスタート。その後、2年間は大学を休学し文学座に集中した。東京の名門劇団で学ぶうちに、市民参加型の松本の演劇スタイルの面白さに気付き、今年3月、まつもと演劇工場の特別講習を受講。「地元で演劇をやりたいなら一緒にやってみないか」。そう声を掛けたのが、TCアルプのメンバーでもある演出家で俳優の串田和美さん(77)だった。

松本の若い人と演劇つなげたい

東京で芝居に打ち込み、見えてきたのは松本の懐の深さだった。「舞台で地元に恩返しをしたい」と話す田村さん。市民芸術館があり、俳優がいて、身近に演劇があったからこそ自分の世界が広がったと実感する。一方、最初の頃の自分がそうだったように、なかなか演劇に近づきにくい人の気持ちも分かる。「地元出身の自分が出演することで、1人でも多くの人が芝居に興味を持ち、足を運んでくれればうれしい」
共に学び、憧れてもきたTCアルプの俳優陣と一緒に立つ舞台。「夢であり、目標だった。頑張って臨み、松本の演劇を若い人たちにつなげる一助にもなれたら」と話す若い俳優が、本番でどんな姿を見せてくれるか楽しみだ。

【「じゃり」のチケット】
まつもと市民芸術館(16~18日)は前売り完売。上土劇場(22~26日)は残席あり。市民芸術館チケットセンター℡0263・33・2200