中山道宿場町と木曽重伝建を結ぶシャトルバス ノスタルジックに旅気分

近場でも新しい発見が…

塩尻市の奈良井宿と木曽平沢間で、11日から今季の運行を始めた無料の「重伝建周遊バス」。中山道の宿場町と木曽漆器の街の2つの「重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)」を結ぶシャトルバスは、旅人をノスタルジックな気分にさせる。
コースは木曽平沢の「木曽くらしの工芸館」と奈良井宿の「権兵衛橋」間の約4キロ。途中、10カ所のバス停があり、所要時間は25分。昨季(4~11月)は2390人が利用したこのバス旅に、今季は利用者限定のスタンプラリーとプレゼント企画も加わった。
旅籠(はたご)の軒灯や千本格子の家々が1キロにわたって続く奈良井宿に、漆職人の工房や商店が奥に細く伸びる特徴的な住まいが残る木曽平沢。梅雨空が一息ついた日に、風情を感じるボンネット型のバスに乗ってみた。

今季から始めたスタンプラリー

緑と黄色の鮮やかなボンネットバス。古い街並みにぴったりなレトロな車両が、木曽平沢の「木曽くらしの工芸館」前のバス停緑と黄色の鮮やかなボンネットバス。古い街並みにぴったりなレトロな車両が、木曽平沢の「木曽くらしの工芸館」前のバス停に到着した。午後1時15分発の便に乗り込み、奈良井宿方面に向けて出発した。
車内で、今季から始めたスタンプラリーの台紙を入手。スタンプを押せるのは奈良井宿観光案内所、奈良井駅、道の駅木曽ならかわでの買い物・体験、木曽漆器館の5カ所。3つ以上集めれば特産のヒノキ製の箸がもらえる趣向だ。
台紙は割引券としても使え、道の駅での1500円以上の買い物、漆器作り体験(1800円~、2週間前までに予約)、木曽漆器館の入館料(大人)がそれぞれ200円安くなる。
車内の内装は、地元漆工職人が一部に本物の漆を塗るなど漆調に仕立てられた。湾曲した街道に沿って建物が並ぶ木曽平沢独特の街並みを眺める。「森カフェ」の看板前でバスが止まると、着物姿の女性らが笑顔で手を振ってくれた。「この辺りにカフェなんてあったかしら?」と思い、帰りに探して寄ることに決めた。

バス内では、音声で両地区の歴史や見どころを案内する。取材時は残念ながら会えなかったが、今季は地域住民による「木曽平沢町並み保存会」が不定期でガイドをしてくれるという。
国道19号から奈良井宿へ入り、バス停の終着点「権兵衛橋」で下車。散策しながら奈良井駅方面へ向かう。江戸時代の情緒たっぷりの通りには、五平餅やソフトクリーム、かき氷などスイーツを売る店が並び食べ歩きも楽しい。
和菓子店で1本130円ほどの団子を買うと「店内でも食べられますよ」と声を掛けられ、ありがたく休憩することに。団子で体力を回復し、奈良井宿観光案内所、奈良井駅でスタンプを押し、同駅から再びバスに乗り木曽平沢へ。
人間国宝の漆器作品などが並ぶ木曽漆器館を見学した後、来る時に気になったカフェを探した。その場所は木曽漆器青年部が月1回開き、地元で取れた野菜やパンを売る「平沢プチマルシェ」会場。同部が、空き家を地域の拠点「二四重商店」として整備した。
バスに向かって手を振ってくれた着物姿の女性は市内の会社員、森有紗さん(30)。マルシェにカフェを出店している。「この辺にはゆっくりできる場所がないので、不定期で店を出してコーヒーを入れながら観光案内をしてるんですよ」。もう6年になるそうだ。同時に塩尻ワインを楽しみながら、同部が貸し出している漆器を使い、料理を盛り付ける実演も。地域活性化を担う人たちの明るい笑顔が並んでいた。
出発点の「木曽くらしの工芸館」に戻ってきたのは、閉館間際の午後4時半。同じ敷地内の道の駅で買い物をし、スタンプを4つ集めてプレゼントと引き替えた。台紙のアンケートに答えると抽選で塩尻ワインも当たる。新型コロナウイルスの拡大で遠出する機会がなかなかない中、近場でも新鮮な旅気分を十分味わえた「重伝建のバス旅」だった。

【重伝建周遊バスの利用】
11月3日まで午前10時~午後4時の間、1時間に1本運行。停留所での乗り降りは自由、予約不要で利用できる。7月中は土、日曜、祝日限定で運行。時刻表は市観光協会のホームページで。駐車場は、奈良井駅(500円)、権兵衛橋(510円)、道の駅奈良井木曽の大橋、木曽くらしの工芸館など。同市観光課電話0263 ・ 52・0280