新しい生活様式に合わせた健康づくり─家でも簡単に楽しく

新型コロナウイルスの影響で、「3密」を避けて家で過ごす時間が増えたというシニア世代。健康運動指導士の茂澄修さん(61、松本市笹部)は「『動かない』不活発な生活が続くと、心身の機能が低下し、ますます『動けなくなる』」と指摘する。同市の神林福祉ひろばで茂澄さんが講師を務めた介護予防講座「新しい生活様式に合わせた健康づくり」を取材し、「Withコロナ」時代を楽しく健康的に生き抜くヒントを紹介する。
長い自粛生活が続き、一番気になったのが「高齢者の運動不足」だと茂澄さん。コロナ禍で、家の中でごろごろとあまり動かない生活を送っていると、気付かないうちに背中やおなかの筋肉が弱り、足腰の筋力が衰え、家の中で転倒骨折してしまう高齢者が急増しているという。
背中が丸まってしまうのは、実は太ももの内側の筋肉、内転筋が弱っているからといい、ここを鍛える効果的な方法として、茂澄さんが名付けた「エール運動」を紹介。背もたれから離れて椅子に座り、両膝の間に本を挟んで落ちないように15分程度維持する。
ポイントは「背骨が自然なS字カーブを描くように姿勢を正し、毎日、継続すること」。現在放映中のNHK連続テレビ小説の番組名と同じ名前のこの運動。茂澄さんは「ドラマがちょうど15分なので、ながら運動として毎日の習慣に取り入れると良い」とアドバイスした。
内転筋を鍛えると、骨盤が安定するので歩行もスムーズになり、転倒防止のほか、尿漏れ予防やO脚改善も見込めるという。
さらに、茂澄さんが考案した、椅子に座ったままでもできる体操は、ゆっくり体を動かす太極拳とラジオ体操を組み合わせたもの。呼吸を整え、柔軟性を高めることで肩凝りや腰痛予防のほか、内臓の働きを促進するのに効果的という。

ウイルスの感染予防のために「新しい生活様式」を過度に実践するあまり、逆に心身の健康を害している実態も指摘した。
「はい」か「いいえ」で答えるアンケートで、「感染が気になって、なるべく外出しないようにしている」の設問に対し、講座参加者の多くが「はい」と答えた。茂澄さんは「人混みを避けられれば、むしろ積極的に外に出て、庭いじりや散歩など体を動かし、外の空気を吸ってほしい」と呼び掛けた。
骨や筋肉を強くするビタミンDは免疫機能を維持するのに必要だが、高齢者は特に不足がちという。1日20~30分、日光に当たることで必要なビタミンDは体内でつくることができると紹介。骨粗しょう症の予防にもなるとした。
また、コロナ禍で1日中マスクを着けている高齢者を目にするが、熱中症の危険性が高く、1人でいる時や車の運転中、畑にいる時などは、むしろマスクを外すことが大事だと注意喚起。マスクをすることで安心してしまい、感染予防に一番重要な手洗いがおろそかになっている人が多いことも指摘した。
講座に参加した友野登さん(92)は「椅子に座ったままでもできるのがいい。ゆっくりした動きで、これなら家でもできそうだ」と満足顔。塩原久里子さん(76)は「血の巡りが良くなった感じ。早速、家にいるお父さんにも教えたい」と笑顔を見せた。

講座は、約半年ぶりに開いた神林福祉ひろばの「ふれあい健康教室」の一環で企画。密を避けるため町会を2班に分け、地元の70~90代男女約20人が参加した。