農家×ユーチューバー コラボスイカ全国への挑戦

得意分野生かし地元農業PR

ユーチューバーと農家がコラボし、松本市波田下原地区で栽培するスイカのブランド力を高める試みに挑む。
「そーゆーすいか」。波田の農家、中野聡一さん(40)=通称「そーちゃん」=と、会社員でユーチューバーの大西祐次郎さん(45、同市梓川倭)=同「ゆーちゃん」=が春に立ち上げた「そーゆー農園」で栽培するスイカのブランド名だ。
おいしいスイカ栽培に励む中野さん。大西さんは作業を動画撮影してYouTubeにアップ、ネット販売も担う。それぞれの得意分野を生かし、価値を明確化して広めていくブランディングで下原のスイカを売り込む。
「そーゆーすいか」を全国区に|との夢を描く2人が、勝負をかける最初の夏。本番はまだこれからだ。

新しい販路開拓ブランド化狙う

露地もののスイカが店頭に並びだした15日。松本市波田下原地区のスイカ畑にあるハウス内に大きなスイカが並び、出荷を待っていた。その中の一つを2つに割り、真ん中の部分だけを包丁でくり抜いてパクリ。「おいしい!」。ジューシーで甘さも十分。こんなぜいたくな食べ方をしたのは初めてだ。
中野聡一さんは、40アールほどの畑でスイカを栽培している小規模農家。かつて会社員としてコピー機の修理、メンテナンスの仕事をしていたが、人間関係に疲れ7年前に脱サラ。父母の代で途絶えたというスイカ栽培を始めた。
例年、直売所や農協に個人名やノーブランドで出荷していたが、ウェブ上で新しい販路を模索。SNS(会員制交流サイト)で共通の友人を通してつながった大西祐次郎さんに相談したのが「そーゆーすいか」挑戦のきっかけとなった。
中野さんはスイカの出荷に通販などを活用したかったが、繁忙期は午前4時起きで暗くなるまで働き、ひげをそる間もないほど。大西さんも自分の商品をブランディングしたいという気持ちもあり、タッグを組んだ。
中野さんのスイカの味にもほれこんだ大西さん。通常のスイカの糖度は8~10度ほどとされるが「中野さんのスイカは13度以上あり本当においしい」。全国ブランドに育つ可能性を実感した。「農家としてブランディングに取り組む例は少ない」と大西さん。流通業者任せでなく、生産者自らブランディングを進める必要性を強調する。

栽培を楽しむ姿動画で伝えたい

「農作業の苦労を見せるのではなく、楽しくやっている姿をみてもらいたい」。動画はスイカのつる引き作業の方法や必要性など、中野さんの希望に沿った内容を撮影。「消費者に喜んでほしい」との思いを画面で伝えている。YouTubeの「そーゆーすいかチャンネル」登録者は現在800人以上。今月中には1000人を超える見込みという。
効果も、徐々にではあるが表れていると感じている。今季は雨や涼しい日が続いたが、「そーゆー農園」産はハウスものが完売。露地ものも2カ所の直売所で1日60玉、多い日には120玉が売れ、ネット通販でも1週間当たり約100玉を出荷している。
今後は地域の他の農家と連携し、リンゴなど果樹全般をネットショップで販売していく計画。「地元の農産物を全国に通用するブランドに育て、地域活性化につなげたい」と大西さん。「そーゆーすいか」が全国ブランドに成長し、地域農業のけん引役や波及効果につながっていくか―。パワーあふれる40代の2人の挑戦が続く。

問い合わせ、注文は「そーゆー農園」のホームページから。