ユーインケアクリニック・神谷仁院長に聞く―睡眠時無呼吸症候群とは?

「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」の患者は、起きている間に強い眠気に襲われるなどの症状により、交通事故や仕事の効率低下といった自身だけでなく周囲にも損害を与えかねないリスクを抱え、生活習慣病などとの関係も指摘されています。ただ、1人暮らしや家族と寝室を別にしていると、自分では気付きにくいことも。SASの専門外来を設けるユーインケアクリニック(松本市井川城2)の神谷仁院長(52)に症状や治療について聞きました。

―睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠中、一時的に呼吸が止まる(無呼吸)か、呼吸がごく弱くなる(低呼吸)状態を繰り返すために質の良い深い睡眠が取れず、日中強い眠気に襲われたり、体がだるく集中力がなくなったりして、日常生活や仕事などに支障を来す病気です。
原因やタイプは大きく分けて2つ。1つは、気道の閉塞(へいそく)によるタイプ。あおむけで寝ると舌根や口蓋垂(こうがいすい)の位置が重力で下がりますが、肥満による首回りの脂肪、骨格、加齢による筋力低下などが影響し、気道が狭まりふさがれ起こります。大部分の患者さんはこのタイプです。
もう1つは、脳の呼吸中枢の異常によるもので、心不全の人はこちらが多い傾向です。

―どんな症状がみられるか
多くの患者さんに共通するのはいびき。急に止まり、その後に大きな呼吸とともに再びかき始め、不定期で繰り返されます。
また、▽本人は気付いていないが、苦しくてもだえている▽何度も目が覚め、トイレに行く▽寝汗をかく▽起きた時に口の中が乾いている▽熟睡感がなく、すっきり起きられない▽昼間に強い眠気がある▽だるさを感じ、集中力が続かない|などの症状がみられます。

―受診の目安は
就寝中の様子は自分では確認できないので、家族や同居者からいびきや無呼吸を指摘されるケースが多数。特に強く疑われるのは、自分のいびきで起きてしまう場合です。早めの受診をお勧めします。
―どんな人がなりやすい
気道が閉塞するタイプは物理的に気道が狭まることで起こるため、太っている人に多い傾向。男性は首回りに脂肪が付きやすいとされ、女性は女性ホルモンの関係から閉経後に増えやすくなります。
喉の奥が狭い(口を開き「あー」と発声した時に、口蓋垂がはっきり見えない)、首が短い、下顎が小さいといった骨格の人、透析治療中の人などがなりやすいとされています。

―検査や治療は
就寝中の無呼吸、低呼吸の有無や血中酸素の状態、体位などを測る装置を使った自宅でできる簡易検査、入院して行う精密なPSG検査があります。
1時間当たりの無呼吸と低呼吸の回数で決まる重症度や原因に応じた治療が行われます。重症の場合は、CPAP(シーパップ)療法が代表的。装置を付けて就寝中に鼻から空気を送り、気道を開き続けておくことで無呼吸を防止するもの。検査で一定の基準を満たせば装置のレンタルが健康保険適用になります。最近は装置が小型化して旅行や出張先に持参できるようにも。
軽症から中等症では、舌根の位置が上がるように口腔(こうくう)内装置(マウスピース)を入れたり、鼻から口蓋垂まで達するチューブを入れ気道を確保したりするなどの方法があります。
喉の奥を広げるなどの手術を行うケースもあります。治療に加え、肥満の人は痩せることで改善が期待できる場合もあります。

―SASのリスクは
日常的な症状のほか、SASの人は生活習慣病や認知症のリスクが2~4倍に増加。寝ている間に体に大きなストレスがかかり、眠りの質が確保しにくくなるからです。
「何となくだるいけれど、こんなものかな」と気付かない「隠れ患者」も多いのがこの病気。今は「コロナ太り」が心配される時期でもあり、セルフチェック表なども参考に早めの受診、治療が大切になってきます。