本と子どもの発達を考える会 設立10年 絵本の力で子どもの発達支援

松本市を中心に、病院や特別支援学級など支援が必要な子どもたちに読み聞かせや本を届ける活動を続けている「本と子どもの発達を考える会」(谷口和恵代表)が今年、設立10年を迎えた。
これまでの活動や記録をもとに昨年末、実践書「読み聞かせで発達支援絵本でひらく心とことば」を出版。個々の絵本の解説だけでなく、読み聞かせのポイントやこつなどもイラスト付きで詳細に説明している。4月には早くも3刷を出すなど好評だ。
「絵本には、子どもの発達を助ける力があり、そんな本を届ける人が必要」と同会。新型コロナウイルスの影響で中止や延期を余儀なくされた読み聞かせイベントや講演会もあるが、歩みを止めず、地道に活動を続けている。

連携の輪を広げ 多様な取り組み

「本と子どもの発達を考える会」設立は、1993年に開設された県立こども病院(安曇野市豊科)が病児向けの「おはなしボランティア」の受け入れ準備を始めたのがきっかけだ。
4年後の97年、地域で活動していた個人や団体が参加し「おはなしボランティア」がスタート。その参加者から「大勢が個々で手探りの活動をしている。本が子どもの発達に及ぼす効果についてまとめる必要がある」との声が出て、10年に同会が発足。「ちいさいおうち書店」(松本市沢村)副店長の越高令子さん(67)が初代会長に就いた。
会の活動は多岐にわたる。チームを組み、県立こども病院、児童発達支援事業所や特別支援学校などに出向いて読み聞かせを実施。子どもたちの様子や反応などを記録し、「読み聞かせプログラム実施報告」として毎年まとめてきた。専門家を招いての公開講座、講座や講演会も開催。本の展示貸出事業、学校巡回展「いのちの本展~みんないっしょに生きている~」なども展開している。
「絵本でひらく心とことば」は、そうした活動で蓄積したや経験をもとに刊行した。「乳幼児期」「ことばを育てる」「コミュニケーションが苦手な子に」「視覚支援」「体験・活動・あそびにつなげる」「いのちの絵本」といった項目を設け、読み聞かせのポイントなどを説明。会員のコラムには、読み聞かせの現場での出来事や講演会を通じて気付いたことをちりばめるなど、楽しく読めるようになっている。
カバーのイラストは「あっちゃんあがつく」などで人気の絵本作家、さいとうしのぶさんが担当。さいとうさんが出した本「あかちゃんとわらべうたであそびましょ!」では、同会が編集に協力するなど、連携の輪も広がっている。

メンバーと共に楽しく協力して

同会が10年の節目を迎えた今年、コロナ禍で多くの講演会やイベントが中止となった。支援学校などへの読み聞かせは年度ごとにチームや担当を変えているため、毎年年度初めに集まって所蔵する絵本や紙芝居などの入れ替えを行っているが、今年は7月下旬までずれ込んだ。9月に予定した川上康則さん(東京都立矢口特別支援学校主任教諭・公認心理師・臨床発達心理士)の講演会は、リモートでの実施など方法を模索中だ。
「多くのありがたい出会いがあり、いろんなキャラクターのメンバーが集まり、楽しく協力してくれることで活動が続いている」と越高さん。同会の谷口和恵代表(62、松本市筑摩)は「動けない間は、これまで忙しくてなかなか手が回らなかった図書の補修などに充てられた。今後もできる活動を地道に続けていきたい」と前を向いている。

「読み聞かせで発達支援絵本でひらく心とことば」(かもがわ出版、96ページ)は1800円、「あかちゃんとわらべうたであそびましょ!」(のら書店、32ページ)は1200円。講演会などの情報は、同会ホームページ(http://hontokodomo.amebaownd.com)を参照。問い合わせは同会事務局「ちいさいおうち書店」越高さん ℡0263・36・5053