南安曇農業高校生物部 ミストでワサビ栽培効率化、総文祭で発表

清流が育む安曇野市の名産ワサビ。多くの手間と時間、コストが掛かるが、短期間に低コストで安定的に苗を大量生産できたら-。そんな技術の開発に取り組む地元の南安曇農業高校生物部が、今年の全国高校総合文化祭「こうち総文WEBSOUBUN」で、研究成果を発表した。
近年、ワサビは農家の後継者不足や温暖化による栽培環境の変化などで生産量が減少、生産性向上などが課題となっている。そこで生物部は3年前、「地元の農業高校生としてできることはないか」と研究に着手。現在の3年生6人は、1年生の時から先輩の活動を引き継ぎ実証実験を続けてきた。
ワサビは通常、畑に種をまいて苗を育て、根茎(こんけい)として収穫するまでに数年かかる。同部はハウスで効率的に野菜などを育てる「ミスト(人工霧)栽培」に着目。一昨年、超音波で発生させたミストの中で、ワサビの根茎から葉や根を大量生産させることに成功した。昨年はそれを土に植え、生育可能なことを実証した。
今年はその苗を穂高のワサビ田に定植し、実際に活着するかを実験。定植から3週間後の3月には花芽が確認でき、5月上旬には植えたすべての苗が活着し、十分育つことが確認できた。これにより、通常、半年~1年かかる苗生産を2カ月程度に短縮でき、さらに種まきから花芽形成まで要していた1年4カ月ほどの時間を約5週間にまで短縮できる可能性を見いだした。
同部は、実用化すれば現在1本200円程度の苗を50円以下にできるとみる。「実現できれば、ワサビ産業の革命につながる」と曽根原俊部長(17)。生徒会長でもある関流星副部長(18)は「ぜひ実用化に向け、後輩たちに活動を引き継いでもらいたい」と願う。
成果はコロナ禍のためネットで発表。論文要旨は総文祭の特設サイト(「ウェブ総文」で検索)に10月末まで掲載している。