ビジョントレーニング効果は?やり方は?

欧米で約80年の歴史がある視覚機能を高める「ビジョントレーニング」。目から入った情報を脳で処理して体を動かす運動機能や集中力などの向上につながり、大人はもちろん子どもにも効果があるといわれています。眼鏡店を経営しながら「ビジョントレーナー」として各地で活動する小松佳弘さん(39、福岡県)に、トレーニングの効果ややり方などを聞きました。

★ビジョントレーニングとは
「視力」は対象物を見る力、「視機能」は対象物を捉え、それに伴う身体の動作を脳に伝える力です。例えば遠くにある野球のボールを見る力が視力で、飛んで来たボールを打つのに必要なのが視機能。文字を正しく読む、書く、物事に集中する、記憶する、手足を使うことも視機能が関わっています。
ビジョントレーニングは、もともと鬼ごっこやかくれんぼなどの遊びを通して自然に行われていましたが、子どもたちを取り巻く環境が変わった現代は難しい。スマートフォンやタブレットなど電子機器を頻繁に使うため視野や眼球可動域が減少し、視機能が衰えている子が増えています。
このトレーニングは老若男女、目がいい人もそうでない人も対象です。プロスポーツにも導入されていますが、子どもでもトップ選手でも使う機能は同じなので基本的なトレーニングも同じ。視機能を蘇らせるためのきっかけづくりです。
★子どもの視覚機能
生後3カ月から半年くらいにかけて視機能が向上してきます。この時期は、光の情報をたくさん取り入れることを意識してみてください。
といっても見る対象物は、発光するデジタル機器などではありません。太陽光などを介して絵本や折り紙、外の景色などの色を見せることで脳が活性化するといわれています。
飛行機やトンボなどを指さして、「飛んでいるね」と一緒に目で追うのもいいです。
6~13歳はトレーニングによる伸びしろが一番大きく「目のゴールデンエイジ」と呼ばれています。脳機能と感覚統合の土台をつくるこの時期にトレーニングし、視機能のベースができることで大人になっても維持しやすくなります。
★トレーニング前のチェック
トレーニングを始める前に、まずは子どもが日常でどんなふうに目を使っているか、正しく見ているかを確認します。
(1)子どもの正面に立ち、ペンを縦に目の高さに持つ。
(2)ゆっくりとペンを上から下、下から上、右から左、左から右にそれぞれ40センチほど(肩幅程度の範囲)動かし目で追ってもらう。このとき視線はペン先、頭を動かさず目線だけを動かすようにする。
(3)ペンの動きを視界の各端で止め、そのまま3秒キープする。
目線がスムーズに動かない、正しい位置で維持しにくいといった様子が見られる場合がありますが、多くは筋力や機能が十分に発達していないことが原因です。トレーニングを続けるうちに目の周りの筋力が高まり、正常な動きになっていきますが、気になる場合は眼科医に相談してください。
★1日5分のトレーニング
親子で楽しみながら1日5分、週4回を目安に行うことで正しく視機能を高められます。
眼球を正確に動かすトレーニングの1つ「線たどり」=右=は、(1)ワークシートの線を目で追う(2)ワークシートの線をペンでなぞる|を行い、それぞれ時間を計ります。始める前に親が試して、どのくらい時間がかかるか知っておくとよいでしょう。
トレーニングは最初からできなくても大丈夫です。「ちょっと難しい」を繰り返しながらステップアップしていく。そのトレーニングに取り組む過程が大切です。親は子どもが苦痛に感じないようにサポートしてください。
ホームページにはダウンロードできるトレーニングを幾つか掲載しています(https://www.0v0ision10.com/download/)。難易度が高いものに挑戦したりタイムを計ったりしてみてください。
また、家の手伝いはビジョントレーニングそのものです。洗濯物を畳む、料理をテーブルに運んで並べるといった動作は、目と手と頭を使って試行錯誤する空間認知のトレーニングになります。日常生活で積極的に取り入れてください。

新聞文字探しゲーム

さくら*みらい塾(箕輪町)では、ゲーム感覚でできるビジョントレーニングを取り入れています。同塾の代表で次世代学習アドバイザーの小島亜矢子さんが考案した「新聞文字探しゲーム」を紹介します。
きっかけは「休校中にタブレットでゲームをしたり動画を長時間見たりしたせいか、子どもの目が悪くなった。クラスでも眼鏡をかけはじめた子が増えたみたい」というママ友の話。休校の影響が目にも出ているかも?少しでも改善できるように─と家でできるビジョントレーニングを考えました。
用意するのは新聞、赤ペン、マスキングテープ。新聞1枚を横に広げ、壁にテープで貼ります。続いて準備運動。手が届く範囲に立ち、新聞の四隅を右回り、左回り、8の字に目を動かします。
次はいよいよゲームです。制限時間30秒で、新聞記事から「あ」の文字を探し、見つけたら赤ペンで○を付け、数を記録します。続いてお父さん、お母さんが青ペンで「い」に○を付けてみましょう。繰り返すうちに見つける数が増えます。
字が分からない子どもには、大きな字で「これを探して!」と紙に書いてあげるといいです。必死に見るので、知らず知らずのうちに字を覚えられるメリットがあります。
新聞には情報がたくさん詰まっています。あらかじめ探しておいた難しい漢字を大きく書きだし、「この字はどこにあるかな?」といった工夫もできます。
視機能トレーニングと学習を兼ねたこのゲームは「遊び」でやるのがポイント。子ども1人ではやらないので親子で挑戦してください。一生使う目を守ることにもつながります。