臨床心理士・上間春江さんが話す―「不登校対応」大切なポイント

新型コロナウイルスの影響で、例年より短い夏休みが終わり、2学期がスタートしました。子どもが目に見えないストレスや不安などから体調を崩し、不登校になりやすい時期でもあります。塩尻、安曇野市を拠点に活動する学習支援センター「実帰舎(じっきしゃ)」が8月末に開いた講演会で、臨床心理士の上間春江さん(43、塩尻市)が話した「不登校対応大切にしたい3つのポイント」から要点をまとめ、紹介します。

子どもとどう関わるか

子どもが突然、「学校に行きたくない」と言い出した時、親として子どもにどう声を掛けるべきか―。
A「頑張って行きなさい」
B「嫌なら行かなくていいよ」

正解は、「どちらでもありません」。子どもが学校に行きたくないというのは、よっぽどのことで、まずは、その理由や背景を知るためにも子どもの声に耳を傾けてください。大事なことは、学校に行くか、行かないかの選択ではなく、どういうスタンスで子どもと向き合い、関わっていくかです。

ポイント1 信じるモード
みんなが行っているのに自分だけ学校に行けなくなったら、子どもは自信を失うでしょう。「駄目な存在だ」と自らを否定しがちですが、そこは「大丈夫だから」と強い心で子どもを信じて支えてください。今は学校へ行けないけど、「あなたはかけがえのない、素晴らしい存在だよ」と認めて味方になることが大事です。
日本で青少年の死因1位が自殺です。青少年の実に30%が「本気で自殺を考えたことがある」という調査結果があります。そのうち11%が自殺未遂の経験者です。原因の多くは学校でのいじめですが、不登校経験が自殺に大きな影響を与えていることも分かっています。

★ポイント2 お子さんらしさがどのくらい発揮できているかを検討する
子どもにはどんな「らしさ」があるのかを日常生活から探ってください。カウンセリングのアプローチの1つに「解決志向ブリーフセラピー」というものがあります。解決したい悩みがある時、その原因探しをするのではなく、これから自分がどうなりたいのかを考え、未来の希望につなげます。
人は、自分の興味や関心を満たす活動は、苦になりません。自分を元気にしてくれます。子どもが何をしている時が一番楽しいのか、知ることが大事です。
学校に行きたくないと言っていた子どもが、カウンセリングでプロ野球の巨人が大好きなことが分かりました。好きな野球や選手の話で、つながれる友達や先生が学校にいたら、それだけで不登校という問題を解決できる可能性が出てきます。

★ポイント3 「ちょっとしたうまくいくこと」を見つけて
部屋に引きこもっていた子どもがある日、リビングでご飯を食べられるようになりました。その時、いったい何が良かったのかを考えてみましょう。偶然に起きたことでも、その条件や理由が特定できれば、逆に今度は意図的にその「いい状態」を作り出すことができるかもしれません。
子どもに起きた「ちょっとしたいい変化」を見逃さず、いろいろ試す中で、うまくいったことを少しずつ実践し、続けてみることです。そうすることで、その子にあった対応ができ、成長や変化の流れを少しずつ作れるようになってきます。

子の成長信じ見守って

不登校の渦中にいると、親も子どもの将来が心配で不安だと思いますが、「子どもは自ら乗り越える力を持っている」と、信じて疑わずに見守ってください。大事なことは、子どもが生き生きと自分らしくいられる毎日をつくれるかどうか。親はもちろん、学校や地域、周りの大人たちの理解と支援が必要です。