【像えとせとら】でいらぼっちゃ展望台(安曇野市三郷小倉)

安曇平を造った大男の優しい顔

温泉宿泊施設「ファインビュー室山」やジャンボ滑り台などの遊具、パターゴルフ場もある市民の憩いの場「室山アグリパーク」。山頂(793メートル)一帯の芝生広場の奥に、大男の顔が見える。なぜだろう、会えてうれしい。
近寄ってみると、その大きさを実感する。管理する市都市計画課によると、高さ10メートル。頭の上が展望台になっていて、背中側から階段で上る。途中までネットで上ることもでき、子どもが喜びそうだ。
高い所が苦手なのを忘れて上ってみると、途中から腰が引けた。大男の頭上から安曇野や松本平が見下ろせる。柵にパネルがあり、四方に見える山名が書いてある。
彼の名は「でいらぼっちゃ」。住みやすい平地を造る際に運んでいた土がこぼれ、室山になったという伝説がある。芝生に、はだしがよく似合う。右手に土らしき塊を持ち、その上に左腕をピシッと上げた、ほぼ等身大の和服姿の人の像が。いったい誰?地元の人に尋ねたが「分からない。大男の大きさを示すために載せたのでは」という。勝手に田助(たすけ)さんと名付けてみた。
安曇平を造った働き者の、遠くを見つめる優しいまなざし。田助さんも、こちらに向かって「おーい!」と呼び掛けているようだ。「ごめん、また来るね」とつぶやき、後ろ髪を引かれる思いで広場を後にした。