きょうだいでおもちゃの取り合いをしていつもけんかになるという話題もしばしば外来で伺います。
発達の偏りがあると、自分のもの、他人のものという「所有」の概念が身に付きにくいことがあり、また一つのものを譲り合ってシェアして使うということができるようになるのは、とても遅いことが多いです。
いつも物の取り合いでけんかになるのも困るし、一方がいつも譲ってばかりなのも不満が募ります。親としては、きょうだい仲良く譲り合って一つのものを使ってほしい気持ちがあるのは分かるのですが、こういう場合は、あえて、おもちゃは一人に一つずつ与えて、きょうだいで共有しないようにすることをお勧めしています。
そして全てのものに名前を書き、誰の持ち物かをはっきりさせ、しまう場所も一人ずつ別にします。そして自分のものでないものを許可なく使った場合は、速やかに冷静に取り上げます。親の方もジャッジがしやすくなるわけです。
また、一人に1台ずつ買い与えられない高価なゲーム機やピアノなどは、使う優先日や時間帯を分かりやすく表にして貼っておくことなども有効です。
一人ずつ購入するとなるとその分、お金はかかるのですが、きょうだい間でのトラブルを減らしたり、「自分のもの」「他人のもの」という概念をお互い恨みっこなしに身に付けたりするには必要なステップだと考えています。
「譲り合ってシェアして使う」は、もっと大人になってから身に付けることができるようになるものです。まずは自分のものと他人のものの区別が付けられるようになり、自分のものは理不尽に奪われないことが保証されてから、自分のものを大事にすることができるようになり、その後で、共有で使うことや貸し借りをすることを身に付けていけばよいのです。
【なないろキッズ】 #46 「自分のもの」概念大事に
- 2020/09/22
- 小児科医・新美妙美のなないろキッズ