桔梗ケ原に立つキツネの正体は
塩尻市宗賀の桔梗ケ原、「日本アルプスサラダ街道」の起点近くを車で走っていると、誰かの視線を感じた。引き返してみると、その主は体長1メートルほど、後ろ足と尻尾を使ってすっくと立つ、白いキツネの石像だった。
街道沿いの、見晴らしの良い段丘上にある「サラダ公園」の一角。像に説明書きなどはなく、キツネは「僕の正体が分かるかい?」とばかりに、にやりと笑っている。
桔梗ケ原の一帯には、いたずら好きのキツネたちが人を化かしたという伝承がある。像はその親分「玄蕃之丞」なのか?公園を管理する市や、例年7月末に「塩尻玄蕃まつり」を開く実行委員会などに尋ねたが、分からない。
ようやく公園の整備に携わったという元市職員が見つかり、像を制作したのは、今井石材工業(同市大門二番町)の今井高行社長(51)と判明した。1996年に市から「(まつりで)玄蕃踊りを楽しむ、立ち上がった玄蕃之丞を」という依頼を受け、人くさいキツネの像ができた。
置かれている公園は、あまり人けがない。元市職員によると、玄蕃之丞ゆかりの地であることや、散歩のコースにしている近くの保育園児らを楽しませるために選ばれたという。
なかなか尻尾がつかめなかったキツネ。私が取材したために正体が広く知られ、「ドロン」と姿をくらましはしないだろうか。