息苦しさ増す都会から移住 安曇野シェアハウスに住む女性3人の暮らしは?

新型コロナウイルスの感染拡大で息苦しさが増した都会を抜け出した女性3人が信州・安曇野に移り住み、暮らし始めた。
団体職員の鈴木瞳さん(29、神奈川県藤沢市出身)、会社員の中岡あづみさん(45、大阪府豊中市出身)、同じく会社員の井土真希さん(45、大阪市出身)。6月に安曇野市豊科南穂高に開所したシェアハウス「旅鳥豊科の家」で、共同生活を送っている。
コロナ禍で、「職・住」が必ずしも近くなくて済む環境も広まってきた。「自分らしく、心豊かに暮らしたい」と、安曇野に身を置きながらテレワークで仕事をこなす。
「ここでの生活は最高だけど、いつまで居るかは分からない」。そう口をそろえる3人が身を寄せる「旅鳥」。自分が根を下ろす場所を探す「旅」はまだ途中だ。

「根を下ろす場所」を探す途中

9月のある日、シェアハウス「旅鳥」の住人はテレワークでの仕事を終え、それぞれの仕事場から、供用スペースの和室と台所に集まり始めた。鈴木瞳さん、中岡あづみさん、井土真希さんが一緒に暮らし始めてから、初めての「たこ焼きパーティー」だ。
旅鳥のオーナーで設計事務所「MIGRANT(マイグラント)」代表の島田真弓さん(37)、島田さんの友人ら10人が集合。たこ焼き談議に花が咲き「こうやって集まると、いろんなことが分かるね」と、知り合って間もない人たちの集まりとは思えない和気あいあいとした雰囲気になった。

ゲレンデある生活を求めて 鈴木瞳さん

一番早く6月に入居した鈴木さん。スキーが趣味で、シーズンになると毎週末、藤沢市の自宅から白馬村などに通っていたが、それでは物足りなくなり、働いていた横浜市の会社を昨年12月に退社。以後、白馬村の宿泊施設に住み込みで働きながらスキーを満喫する生活を送った。
シーズンが終わり自宅に戻ると、緊急事態宣言で身動きが取れない状態に。そんな時、数年前にツアーで知り合いになった島田さんから「シェアハウスをやるから来ない?」と誘われ、即決した。
白馬村を中心に気候変動問題に取り組むスキーヤーなどの団体、一般社団法人「POWJapan」で広報などを担当する。仕事は週1回、白馬村でミーティングを行う以外はテレワークだ。今夏は、仕事の合間に松本市の農家の手伝いに行ったり、旅鳥の小さな畑で野菜作りにも挑戦した。
鈴木さんは「ここで心身共に元気になった。『暮らしてる』という言葉が実感できる」。冬が近くなったら白馬により近い場所に移る計画で「ゲレンデが『ある』生活がいい」と笑顔を見せる。

マレーシアへ移住を目指す 中岡あづみさん

8月初旬に入居した中岡さん。昨年12月に豊中市の福祉施設を退職。国内の観光地でアルバイトをし、ためたお金で海外に数カ月暮らすという生活を描いていたが、移動が制限されるコロナ禍を受け白紙に。
京都市の家は、夫のほか、大学が休校になった子ども2人も暮らすようになり狭くなった。「自分の名前が『あづみ』だったから」と「安曇野」でシェアハウスを検索し、旅鳥にたどり着いた。現在はマレーシアに拠点のある会社に在籍しテレワークで働いている。マレーシアの就労ビザが取得できたら、同国に移住する予定だ。

テレワークを機に都会離れ 井土真希さん

9月の初めに入居した井土さんは都内のIT系企業の営業職だ。4月から完全テレワークになったのを機に都会を離れ、全国展開するシェアハウスを転々とした。昨年は「日本百名山」を含む、153座に登るなど大の登山好きで、旅鳥に入居した翌日には常念岳に登った。
井土さんは「やっぱり北アルプスが最高。ここにいれば登り放題。冬山になるまではいます」と笑顔を見せる。

旅鳥の建物は島田さんの親戚が所有しており、島田さんの事務所のすぐ近くにある。管理はしていたものの10年以上、住人はいなかった。コロナ禍で地方への移住希望者が増える中、「できるだけ気軽に住めるように」とシェアハウスにした。3LDKで、家賃は月3万円(光熱費込み)。
「こういうコミュニティーをつくりたかった。安曇野は空き家も多い。新たな施設を増やしていけたら」。島田さんは、第2、第3の旅鳥を考えている。