乗鞍岳秋化粧

松本市と岐阜県高山市にまたがる北アルプス乗鞍岳(3026メートル)の“秋化粧”が始まっている。今季は、例年より幾分遅め。9月21日、紅葉スポットの県道乗鞍岳線(乗鞍エコーライン)沿いや稜線(りょうせん)を歩き、秋色の風情をカメラで追った。
午前8時、大雪渓下の「肩の小屋入口」バス停付近の気温は7.3度。久々に晴れ間も出て、雲表に槍・穂高連峰が雄姿を現した。
標高2716メートルの岐阜県境付近から標高2540メートルの「宝徳霊神」バス停付近にかけ、草紅葉(くさもみじ)が見ごろを迎えている。紅葉の主役は、ウラジロナナカマド。見ごろの株もあるが、霜で葉が枯れた株も。今年の夏は、山も暑さが続いた。例年になく紅葉の状況の個体差が目立ち、鮮やかな赤い実も不作でわずかしか見当たらない。今後の気象条件にもよるが、現在の状況だと、見ごろはまだ続きそうだ。
県境のバス停から富士見岳(2817メートル)を越え、稜線を歩いた。登山道脇に見つけたのは、黄葉したまま咲くコマクサの花。強い霜が来たら終わる、あとわずかの命。懸命に生きる姿に、シャターを押す指が動いた。
流れていた霧が晴れると、ハイマツの中の岩の上にライチョウの姿が。2羽が寄りそっていた。登山道を歩くと新鮮な感動との出合いが多い乗鞍の大自然。
赤、紅、橙(だいだい)、黄色…。高嶺(ね)の豊かな彩りの中で、大自然との一体感が味わえるのは、乗鞍岳の大きな魅力である。
(丸山祥司)