物作りに夢中77歳の中山濱江さん チャレンジ精神で世界広げ

「カエルは、若返る、無事帰る、お金が返る─に通じ、縁起がいい」。松川村の中山濱江さん(77)は、陶芸を始めて30年以上。お気に入りのカエルをモチーフにした作品は、表情がかわいらしく、中山さんの人柄がにじみ出ているようだ。陶芸の他にも、エコバッグや縫いぐるみなど、物作りに熱中。ユニークな作品を生み出す源は、衰えないチャレンジ精神と柔軟な発想力だ。
カエルの作品を作り始めたのは、10年ほど前。「縁起がいいので、そばに置いておくと、御利益があると思った。話の種にもなる」のが理由。20センチほどの置物や財布に入れることもできるほどの小さな作品など、大きさも形もさまざまだ。
カエルの他にも、一見、猫をかたどった置物だが、逆さまにするとマグカップに変身―など、ユニークな作品もある。「友達と話をしていて、アイデアをもらうことも多いです」と発想のヒントを明かす。
自宅敷地の入り口には、サングラスをかけたウサギの作品が置いてあり、その愛嬌(あいきょう)のある姿が訪れた人らを笑顔にしている。
物作りの意欲は、陶芸にとどまらない。新聞を使ったエコバッグも、「模様がきれいに出るのがうれしくてね」と、写真が大きな紙面を利用するなど工夫を惜しまない。新巻きザケのように、ひもでつるしたサケの縫いぐるみは、テレビでも紹介されたという。
また、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、一時、マスク不足が深刻になったとき、手芸仲間と3人でマスクを300枚手作りし、松川村の社会福祉協議会に寄付した。

看護師の仕事の傍ら、陶芸を始めたのは44歳の時。当時、精神科の患者の療養法の一つとして陶芸が取り入れられており、担当の看護師に熱心に誘われ、「やってみようかな」と出掛けたのがきっかけだ。
元々、物作りが大好きだったが、陶芸に対しては、あまり興味がなかった。しかし、作品が出来上がるごとに楽しくなり、「いつかは大きい作品を作りたい」と思うようになった。
50歳で仕事を辞め、県内で最も歴史があるといわれている相道寺焼(あいどうじやき)の池田町の窯元に遊びに行くようになった。ここで陶芸の奥の深さに気付く。
「土をかまっていたら、欲が出てね。子どもの頃、泥団子を作ったように、土いじりの感覚でやると自然と形になる」と中山さん。それから2、3年たった頃、真剣に土と向き合う自分がいた。
土の配合を変える、窯の中に取り込む酸素量を調節して、仕上がりの色に変化を出す、絵を描いてみる―など、陶芸に対する探求心は尽きることがない。
また、作る喜び以上に、作品を手に取った人の笑顔が何よりうれしく、張り合いになる。「陶芸をやったおかげで、世界が広がった。誘ってくれた人に感謝している」としみじみ。
公民館や小学校、老人福祉施設などで開かれる陶芸教室の講師も務めており、「陶芸や作品を通して、多くの人と会えることが楽しい」と笑顔だ。
加齢により、体力が衰え、以前のように大きな作品を作ることは難しくなったが、「何でも作ってみよう」というチャレンジ精神は衰えを知らない。
現在、自宅の敷地内にある工房では、教室も開き、4人の生徒が通う。健康の秘訣(ひけつ)を問うと、「おしゃべりして、笑うことかな」。陶芸を通じて得た仲間と過ごす時間を大切に、これからも作品作りに挑む。