「さくら*みらい塾」の小島亜矢子さんに聞く―ピン!と記事学習で学力向上へ

ピーン!ときた新聞記事を切り取ってノートに貼る。たったそれだけで、読解力、要約力、表現力、親子のコミュニケーションが自然と身に付き、学力の向上につながるという「ピン!と記事学習」。この学習法を考案し、運営する「さくら*みらい塾」(箕輪町)で1年前から実践している次世代学習アドバイザー小島亜矢子さんに、効果や年代別のポイントを聞きました。

字をあまり読めない子も

「教科学習にとらわれず、子どもが自分らしく生きるための本物の学力を付けることをモットーとしている」と言う小島さん。塾に通う子どもたちは、部屋に入るとまず新聞をめくり、気になった記事を切り取ってノートに貼り、そこに新聞の日付と自分の感想を書きます。
小学生から高校生までみんなが同じことをやりますが、切り取る記事や感想は一人一人違います。小学3年生の女の子は「ライチョウの卵の入れ替え成功」の記事を選び、「卵を入れ替えるのは、なんでだろう?」と書きました。
記事の詳しい内容を理解できなくても、タイトルや写真から情報を読み取り、自分の思いや考えを書きます。小島さんは「どんな学習でも『なんでだろう?』から始まります。単調な繰り返しの書き取りなどは、学習というより何も考えない作業になりがち。これからのAI時代に求められる読解力や表現力は、『なぜ?どうして?』が湧くこの学習法で身に付きます」。
この学習法は字がしっかり読めない、書けない小さな子どもでもできるのが良いところです。記事を選ぶ目安は写真や絵が多いかもしれませんがそれでOK。家族が「なぜこれを選んだの?」と聞き、代わりに書いてあげます。成長して本人が見返したとき、何か気付きがあるかもしれません。
まずは保護者が気になった記事を切り抜いてみましょう。子どもが「何をやっているの?」と興味を持ったら、「一緒にやってみようよ!」と声を掛けてみてください。親子のコミュニケーションも自然に生まれます。

年代ごとの学習ポイントを紹介します。
【小学生】気になった新聞記事を切り抜いて貼るだけで十分です。学校の学習と社会で起きていることにつながりがあると気付いたり、自分の感情を書くことで記憶に残りやすかったりします。
【中学生】自分の感想を書くことに加えて選んだ記事の要約もします。最初は難しいかもしれませんが、繰り返すうちに記事の要点がつかめ、文字数も感覚で分かるようになります。国語の問題を解く時間が短縮できるようになります。
【高校生】感想を書いたら、家族や友人同士でなぜこの記事を選んだのか、どう感じたのかを語り合ってみてください。他者の意見を聞くことで気付きや思考の幅が広がり、自分の考えをしっかりと書けるようになります。言葉にするのは難しくても書くことができる子は多いです。話す、書くの両方の表現力が付きます。

私たちも体験してみました

イクトモメンバーの子どもたちも「ピン!と記事学習」を体験してみました。
◇小学2年生(藤原里絵)
「新聞=大人が読むもの」といったイメージがあった娘。これまで自分から紙面を開くことはありませんでした。
新聞を見せて「どの記事が気になる?」と聞いてみると、ページをめくりながら「これなに?」「これどうしたの?」と興味津々で質問の連続。まだ読めない漢字が多く、1人では内容が理解できないので親による説明が不可欠です。そのため私もいっそう記事をしっかり読むようになりました。
選ぶ基準は内容というより、写真や絵などがかわいいとかカラフルとかでピックアップしているようです。記事を切り抜いてノートに貼る作業は楽しんでやっています。まだ毎日の習慣にはなっていませんが、新聞に興味を持つきっかけになり自分から開くことが増えました。
◇小学5年、中学2年(桜井一恵)
宿題をただこなすという毎日。力になっていないと感じていました。この学習法を試したところ、食いついたのは中学生。最初は事件や出来事を切り抜いていましたが、新聞を毎日めくるうちに興味を示したのが株価の欄です。
誰もが知っている会社や、自分の持ち物やお菓子などの会社がたくさん載っていることが不思議だったようです。小学生もつられて「何、何?」。2人が大好きなマクドナルドが上場していないことなどに気付き、その疑問を調べました。
株価を1週間毎日見ていると変化があり、それがニュースとつながっているかも?というところまで突き止めました。こうなるとニュースも気になり良い循環に。「新聞はいろいろなことが詰まっているすごい教科書だ」と言っています。
毎日は難しいですが、気が付いたときに親子で話し合う機会が増えました。