宗賀小の4年生 森林管理を学ぶ

「森の健康診断」山林に響く子どもたちの声

ヒノキの幹に切り込みを入れ、「せーの」の掛け声で一斉にロープを引っ張ると、メリメリと大きな音を立てて倒れた。今月、塩尻市宗賀小学校の4年生が、総合的な学習の時間で、学校近くの山に入り森林管理を学んだ。森の香りに包まれた授業を通して、児童たちは古里の山林への愛着や知識を深めた。
2000年に中京圏を中心に土砂崩落などの被害が出た東海豪雨を機に発足した市民団体が全国で展開する講座「森の健康診断」として実施。松本短大(松本市笹賀)の学生もボランティアで、児童たちの手助けをした。
「初めて森に入り、木を切る体験ができてよかった」「木や草花の名前をもっと知りたい」。木が間引かれ、光が差し込んだ山林に子どもたちの声が響いた。

自然環境に目を向けるきっかけに

宗賀小の児童43人が入ったのは雨上がりの山林。幼木や草花を探したり、木のおおよその高さを手元に持った「釣りざお」を使って計算したり。一定範囲内の木の高さと本数を調べ、専用の「混みぐあい早見表」と照らし合わせて「診断」し、間伐が必要な箇所を確認した。
指導役は、市民団体「森の健康診断出前隊」(名古屋市)や、里山再生などの活動をする地元住民らでつくる「どんぐりプロジェクト♪」のメンバーら。児童たちは、安全に木を切るための切り口の入れ方などを教わり、伐採に挑戦。順番にのこぎりを使い、木を引き倒した。
「出前隊」の隊員で林業に従事する高橋幸雄さん(71、岐阜県)は、木の断面を見せながらどのように太く成長するかや、木を切ったことで上方の空間が広がり光が地面まで差し込むようになった―などと説明。「木の高さは土の栄養で、幹の太さは日の光を浴びて育つ」といった話に、児童たちは熱心に耳を傾けた。
講座の最後では、6班に分かれて測った木の状況などを、隊代表の丹羽健司さん(66)が報告。木の「混み具合」は各班とも「やや混み~混み」だった。「森がどうなっているか分かったら、これから森を見る目が変わるはず。森が好きになったでしょう」と丹羽さんが語りかけると、児童たちは笑顔でうなずいた。

塩尻市は「森林整備計画変更計画書」で、市の面積の約8割を占める森林の多くが「間伐などの手入れが行き届いておらず、荒廃や土砂崩れを防ぐ機能などの低下が表面化しつつある」と報告。児童たちが入った人工林についても、所有する宗賀財産区は「担い手不足などから管理がなかなかできない」とする。
「山林の地権者が代替わりするなどして、境界線がはっきりしない場所もあり、管理が難しくなっている」。今回の講座を主催した市森林公社の上野陽士郎さん(39)はそう指摘する。
宗賀小の授業に幼児保育学科の学生がボランティア参加した松本短大など、山林保全の取り組みに地域の多くの団体が参加。上野さんは「地元の関係団体が連携し、他の学校でも開くなど活動を広げていきたい」と期待する。市宗賀支所長の古畑比出夫さん(52)も「講座が林業の底上げにつながることや、子どもたちが自然環境に目を向けるきっかけになればいい」と話している。