2020.11.19 日本地域情報コンテンツ大賞・タブロイド部門で2年連続優秀賞

子どもたちに惜しみない愛情 乳児院の若手保育士

さまざまな事情により、家庭で過ごすことができない就学前の乳幼児12人(28日現在)を預かって世話をしている松本赤十字乳児院(松本市元町3)。保育士24人が3交代勤務などで24時間、子どもたちと過ごす。若手の猿田若菜さん(22、同市里山辺)と中島彩花さん(24、同市岡田下岡田)も、個性や境遇が異なる子どもたちに、惜しみない愛情を注いでいる。

十人十色に対応し

勤めて3年目の猿田さんは現在、主に1~3歳の3児が暮らすユニットの世話をしている。「赤ん坊はミルクをよく飲み、よく寝るものだと思っていたが、とんでもない。まさに十人十色で、先輩にいろいろ教わりながら育てている」という。
中でも責任を持って成長を見守る「担当」とされる女児は、生後6カ月から2年間、面倒を見てきた。乳児の頃はミルクをなかなか飲まなかったり、今は「イヤイヤ期」の真っ最中だったりと平穏な日はないが、話ができるようになって、楽しいことが増えたという。「週末に(一時預かりの)ホストファミリー宅で過ごすと、すごくいい表情で帰ってきて、いろいろ報告してくれる」とうれしそうだ。

孤立しない子育て

木曽町開田高原出身の中島さんは勤務5年目。今は10カ月~2歳の3児のユニットを世話する。これまで3人を「担当」し、生後8カ月から2年間を一緒に過ごした最初の子は、他の職員の前ではおとなしくても、心を許した中島さんには泣いたり怒ったり。感情をぶつけてくる子に「初めは戸惑った」という。
親の面会が少なかったため、「この子の一番の理解者になろう」とたくさん甘えさせ、時に叱った。その子は、きょうだいがいる児童養護施設に移ることになり、送り届けて帰ってきた時は、寂しさで涙があふれたという。
現在「担当」している10カ月の女児は、母親がよく面会に来るため、母親にできない部分を中島さんが補う意識で育てているという。「子どもは一人では育てられないと実感する。ここではほかの職員を頼れるので心強く、孤立しないで済みますが」

将来の幸せを願う

猿田さんと中島さんは、ともに短大を卒業して保育士の資格を取得し、「子どもの近くで成長を支えたい」と、乳児院で働くことを選んだ。育児は成果が見えづらく、達成感もなかなか得られない。「成功」もない。それでも、子どもたちと小さな「できた」を喜び合ったり、笑い合ったりする日々をいとおしむ。
「自分が関わったことが少しでも将来に生き、その子が最終的に幸せになってくれたら」と中島さん。猿田さんは「『愛された』記憶を持って、次の道に進んでほしい。『あなたが大好き』と言葉や行動でいっぱい伝えたいし、伝わると信じている」と力を込めた。