【ビジネスの明日】#18 セキヤ医療社長 関谷一夫さん

1月に創業した医院開業・運営支援の「セキヤ医療」(松本市井川城2)。徹底した患者目線での医院開設を後押しするのが、サービス業出身の関谷一夫社長だ。6月、同市井川城2にある同社所有マンション1階に開院した透析、一般内科、睡眠時無呼吸症候群専門外来の「ユーインケアクリニック」が、支援第1号だ。

変革望み新たな世界に挑戦

「高い志を持ち医療に取り組む医師の開業を支援する、メディカルサポートカンパニーです」。自社の事業をこう説明する。建物や設備、人的な支援を行い、開業後も医院と連携して、ホスピタリティーや快適性、満足度を高めて患者に寄り添う運営を支える。
同クリニックでは透析患者の送迎をするほか、食事やカラオケ、コンサートなどが楽しめる好眺望の9階ラウンジを患者に開放。同マンションに入居しての在宅血液透析も目指す。今月からは、一般内科の診療時間を平日午後8時まで延長。土曜も午前10時~午後4時まで通しで診療を行う。
自身は、衣料品小売り・卸に始まり、不動産や飲食、宿泊、高齢者福祉など、さまざまな事業を手掛けてきた。「安定が嫌いで、新しもの好き。常に動いていないと死んでしまうマグロのよう」という性分で、常に変革を望み、挑戦し続けた半生だった。
29歳の時に豊科町(現安曇野市豊科)で衣料品店を独立開業した後、35歳からは地元主導型のショッピングセンター開発会社の副社長も務めた。これまで手掛けた事業の中には反対の声が上がる苦難にも直面したが、一貫して利用者目線に立ち、屈せずに道を切り開いてきた。
70歳の手前で新たな世界に踏み込んだ。今回の起業は「ただの思い付き」と笑うが、一般的に週3回、1回4、5時間程度拘束される身近な透析患者の姿がきっかけだった。長年サービス業を展開してきた視点から「患者の生活の幅や楽しみを広げ、満足させて幸せにするおもてなしで役に立てないか」と、ひらめいた。
今後は、同マンションを活用した他の診療科の医院開業支援を計画するほか、来年、安曇野市にみとりまで行う介護福祉施設の開設を予定している。
「今までに60万人以上と接してきた接客のプロ。常に患者目線でいろんなアイデアを盛り込んでいけたら」。分野は変われど、ぶれない意思が言葉ににじむ。

【プロフィル】せきや・かずお松本市生まれ。松商学園高校卒。同市内の衣料品問屋に就職し、旧豊科町で婦人服店を独立開業。マンションや住宅型有料老人ホーム、そば店、旅館などの経営を経て、今年1月にセキヤ医療を設立し、社長就任。69歳、同市井川城2