2020.11.19 日本地域情報コンテンツ大賞・タブロイド部門で2年連続優秀賞

薬物乱用防止地道な活動 県指導員・岡村さん

コロナ禍の今若者に伝えたい

大学スポーツの部員による大麻使用容疑など、相次ぐ若者の薬物乱用のニュースを苦渋の表情で見つめる人がいる。17年前から薬物乱用防止の啓発・教育活動をする県薬物乱用防止指導員、岡村勤さん(77、塩尻市広丘堅石)だ。
岡村さんは「塩尻桔梗ライオンズクラブ」の設立メンバー。60歳の時、ライオンズクラブ334─E地区(長野県)の薬物乱用防止委員長に就いたのをきっかけに、薬物乱用防止を「オンリーワンの奉仕」と心に決め、取り組んできた。
学校で子どもたちに薬物の怖さを伝える講演を重ねたほか、薬物を絶対に許さない大人を地域に増やそうと、薬物乱用防止講習会を開催。人材育成にも力を入れている。
今月末まで、国と都道府県の「麻薬・覚醒剤乱用防止運動」。

興味本位で開始脳破壊する怖さ

薬物乱用防止に取り組む岡村勤さんに話を聞いた。

─薬物乱用の恐ろしさはどこにあるか。
「脳を破壊してしまうこと。最初は興味本位や面白半分で始める。特に20歳未満の子どもたちの場合は。『1回だけなら大丈夫』『何事も経験だよ』『ちょっとだけ試してみたら』など、甘い言葉に乗ってしまう」
「特にコロナ禍の今は、ストレスや疲労をため込みがち。『気分が良くなる』『嫌なことが忘れられる』『頭がすっきりする』と大麻や覚せい剤を勧められた時に、心の隙が生まれやすい状況だ」
「乱用と聞くと、度重なる使用と思われがちだが、ルールから外れた目的や方法で使えば、たとえ1回だけでも乱用と言う。これは違法薬物だけでなく、医薬品でも同じ。そして、違法薬物を1回でも使うと、取り返しのつかないことになりかねない」
「フラッシュバック(再燃)という現象の存在をぜひ知ってほしい。薬物を乱用すると脳が壊され、幻覚や妄想などの症状が出るが、乱用を止め、治療をし、普通の生活に戻っても、ささいなストレスや飲酒などによって突然、幻覚や妄想が再燃する場合がある」

─芸能人など有名な人が薬物の所持や使用で相次ぎ逮捕され、大きく報じられている。
「それらのニュースに触れて『恐ろしい、絶対に手を出さない』と思ってもらえればいいが、『保釈されるんだ』『元に戻れるんだ』と思われてしまうと困る」

大麻の危険性断る勇気大切

─海外では大麻合法化の動きがある。
「ここ数年、若者の間に大麻が急速に広がっている。昨年の大麻摘発者数は4000人を越えたが、半数以上が未成年や20代の若者だった。ネット上には大麻の危険性を軽視するような情報もあふれているが、惑わされないでほしい。大麻は脳に作用して酩酊(めいてい)感、陶酔感、幻覚作用などをもたらす。もちろん依存性もある。乱用すると情緒が不安定になったり、集中力がなくなったりする。長く使用すると幻覚や妄想、無気力にもなる恐ろしい薬物。大麻を入り口に他の薬物へ手を出すことも少なくない」

─子どもたちに伝えたいことは。
「身近な人から誘われたとき『嫌われたくない』『関係を壊したくない』と断り切れずに使ってしまう場合が多い。あなたに薬物を勧めてくる人が果たして『大切な人』と言えるのか、よく考えてほしい。困ったことがあったら、先生、家族、友人、警察など、信頼できる人に相談することが大事。一人で抱え込まないこと」
「薬物乱用は使った本人だけでなく家族など周囲の人も巻き込み傷つけることになる。薬物に頼る生活から普通の生活に戻るのは大変難しい。誘われても断る勇気を持ってほしい。あなたの大切な人生を薬物なんかに奪われず、目標を持って、健康な体で人生を歩んでほしい」

【薬物に関する相談窓口】
▽県薬事管理課麻薬毒劇物係℡026・235・7159
▽県松本保健福祉事務所生活衛生係℡0263・40・1940
▽県精神保健福祉センター℡026・227・1810
▽各警察署生活安全課

【プロフィル】
【おかむら・つとむ】県内の複数の企業で取締役などを歴任。県薬物乱用防止指導員、薬物乱用防止教育認定講師(公益財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センター認定)。2003年から薬物乱用防止活動に取り組み、県知事表彰(15年)、厚労省医薬・生活衛生局長賞、塩尻市長表彰(18年)など受賞。