2020.11.19 日本地域情報コンテンツ大賞・タブロイド部門で2年連続優秀賞

子ども医療電話相談事業で活動した薬剤師に聞く―休日・夜間の急病と薬対処法㊤

子どもが小さいうちは薬を飲ませる機会も多いと思います。薬剤師の大輪義子さん(72、塩尻市広丘原新田)、小林美知子さん(73、同)、宮下茂代さん(70、松本市原)、小口暁子さん(64、岡谷市本町)は、そんな保護者らに向けた厚生労働省の子ども医療電話相談事業(♯8000)で7年半にわたり休日・夜間相談を受け、現在は発熱や薬の飲み方などの知識を伝える活動をしています。小さい子どもに関わる人が知っていてほしいことを聞きました(小林さんは都合により欠席)。2回に分けて紹介します。

【発熱】高熱でも慌てず 救急受診や解熱剤

─発熱の相談で多い問い合わせは?
大輪夜間・休日救急へ行くべきかと、解熱剤を使うタイミングについての問い合わせが多くありました。
小口夜間・休日救急に行くかどうかの判断は、▽熱があっても水分が取れる▽眠れる▽機嫌が良い─という状態であれば、平日の診察時間まで待ちます。しかし、▽ぐったりしている▽顔色が悪い▽吐く▽痛がる▽呼吸がおかしい▽呼び掛けてもぼんやりしている▽水分が取れない─といったときはすぐに受診します。
また、「高熱が出ると脳に障害をきたすのでは?」と心配する人もいますが、高熱だけが原因で脳の障害は起きません。髄膜炎や脳炎のときは、何度も吐く、ぐったりしているなど別の症状が伴います。熱の高さと病気の重さは必ずしも関係しないので、慌てずに対応してください。
─解熱剤を使うタイミングは?
大輪熱が出るのは病原体と戦っている証拠です。救急に行くか否かの判断と同じように、高熱でも水分が取れる、眠れる、機嫌が良いのであれば解熱剤を使う必要はありません。
小口ぐずっていて水分も取れない、眠れないというときは、「解熱剤を使って少し楽な時間をつくってあげる」と思ってください。薬を使っていったん熱が下がっても、すぐに上がってしまうとまた使いたくなる気持ちはよく分かりますが、最低5~6時間は空けましょう。
宮下解熱剤で熱を下げるのは「水分を取らせて眠らせる」ことが目的です。40度あった熱が39度台に下がるだけでも本人は楽になります。決して平熱まで下げなければ、と思わないこと。楽になったタイミングで水分を取らせ、よく眠らせてください。
大輪「去年もらった解熱剤、上の子がもらった薬を使っていいか」という問い合わせもありました。解熱剤を出されたときは、「医師にいつまで使えるかを聞き、薬に書いておく」ことをお勧めします。成長すると飲む薬の量が変わるので、自分で判断しないようにしてください。

【抗菌薬 】飲み切り残さない 耐性菌に注意

─抗菌薬(抗生剤・抗生物質)の使い方を教えてください
小口抗菌薬が効くのは細菌に対してで、一般的な風邪などの原因となるウイルスには効果がありません。
宮下抗菌薬は正しく使わないと耐性菌ができてしまいます。耐性菌は、抗菌薬が効かない細菌です。新しい抗菌薬が開発されていますが、耐性菌が増えて追いつかない状況ともいわれています。
抗菌薬が出されたときは、▽全部飲み切って残さない▽以前と似た症状でも残しておいた抗菌薬を飲まない▽きょうだい間で使い回さない─ことが大切です。
大輪抗菌薬は腸内の良い細菌(善玉菌)も殺してしまい、なくなった善玉菌が回復するには長い時間がかかります。必要のないときは飲まないようにしてください。

【市販の風邪薬 】 まず休ませて 乳児は受診を

─市販の風邪薬について注意点を教えてください。
小口解熱剤や鼻水・咳(せき)を止める配合薬は、風邪の症状を和らげるのであって、風邪ウイルスそのものをやっつける薬ではありません。鼻水・咳・痰(たん)は、体がウイルスや花粉などの異物や白血球の死骸などの不要なものを外へ出そうとしている防御反応なので、必ずしも止める必要はありません。
大人は症状が出て困るから風邪薬を飲んで乗り切ることもあります。でも、子どもはゆっくり休めばよいので必要ないでしょう。赤ちゃんの場合は受診をお勧めします。鼻水は優しく吸い取ってあげましょう。
また、予防のために飲むという人もいますが、症状を和らげる薬なので効果はありません。