【像えとせとら】あづみ野ランド6本の指(安曇野市穂高北穂高)

謎だらけ 色違いの「仲間たち」

えっ!?初めて見た時、言葉を失った。銀色に輝くそれには爪や関節があり、リアルな「しわ」まである。まるでキノコのように、地中から生えているかのようだ。
それは、穂高クリーンセンターの余熱を利用した温水プールや浴場などがある「あづみ野ランド」の入り口にある。近づいてみると、大人の背丈よりも大きく、高さ2メートル超、直径約50センチ。爪の部分は網目状で、中をのぞくと空洞になっている。
同ランドを運営する穂高広域施設組合の加藤久雄・施設係長(63)によると、元は照明用のモニュメントだったようだ。中にライトがあり、夜になると点灯する仕組みだが、10年ほど前から明かりはともっていないという。もう一度中を除いて見ると、確かにソケットらしい跡がある。
「実はほかにもあるんですよ」。案内されてプールサイドに行き“仲間たち”にぎょっとした。赤、青、オレンジ、緑、黄の5本の「指」が、ウオータースライダーやジェットバスの脇などに何食わぬ顔をして立っている。
こちらは通気ダクトを通じて地下でつながり、爪の部分から温かい風が吹き出ている。監視員のアルバイトをして3年目の松本大3年生、青柳里央さん(21)も「最初は変だと思ったが、今は見慣れた。個人的にはすらっと伸びた青色の指が好きかな」と笑う。
なぜ指なのか|。施設のオープンから四半世紀ほどたっており、知る人も見つからず、謎のまま。「色違いの巨人?」などと想像力を膨らませるのも面白い。