真田の戦略ボードゲームで

松本の英語講師チャールズ・ワードさんが開発

卓上で赤と黒の2種類のトークン(コイン状の駒)が対峙(たいじ)する。赤は信州が誇る戦国大名の真田家率いる真田軍。表に六文銭が、裏には真田幸村ら真田家の武将が描かれている。黒は、真田家に何度も煮え湯を飲まされた徳川軍だ。
真田家をモチーフにしたボードゲーム「ROKUMON」がこのほど発売された。作ったのは「チャーリーさん」こと松本市神林の英語講師、チャールズ・ワードさん(41)。
子どもたちに英語を教える際にロールプレーを活用したことでボードゲームの魅力にはまり、6年ほど前から対戦型ゲームを開発してきた。「ROKUMON」は赤を基調にしたクールなデザイン、真田家の歴史を追体験できるゲーム設定などが売りの自信作だ。
「ROKUMON」の魅力に迫ってみた。

シンプルな構成面白さは奥深く

向かい合った赤の「真田」と黒の「徳川」のトークンを交互に一つずつ動かす。最初の遊び方「エピソード1」で使うのは、ベースに置く「一文銭」のタイル6枚のほか、真田4枚と徳川5枚の「侍」トークン。真田は少数精鋭なので1枚少ないが常に先手で戦えるルール。どちらかがトークンを一直線に3枚並べるか、3枚重ねて置くと勝ちだ。
「ROKUMON」はオセロや将棋のように2人で対戦する「アブストラクトゲーム」と呼ばれるジャンルに入る。ごくシンプルなゲーム構成だが、相手の動きを先読みして封じるなど戦略が求められ、奥が深い。
チャーリーさんは英国ロンドン生まれ。2004年に「日本国憲法や建築に興味を持って」来日した。縁あって松本に居を定め、英語講師の傍ら、フリーペーパーの発行などさまざまな創作活動をしてきた。MGプレスの前身の一つ「松本平タウン情報」で連載した4こま漫画「ふくろちゃん」の作者でもある。
子どもたちとロールプレー形式で英語の授業を行ううちに「この要素をゲームの形で再現できたら面白いのでは」と思い立ち、ボードゲームの開発にのめり込んでいった。5年前に商品版第1号となる「Blood&Fortune」を発売。4作目が「ROKUMON」だ。

デザインも魅力繰り返し遊んで

さぞかし「真田」に思い入れがあったのでは|。そう思って聞くと、「実は最初、真田のことはあまり知らなかった」とチャーリーさん。もともと6個のタイルを使うゲームを考えていたところ、それが真田の六文銭の形と重なり、デザインから入ったという。
真田について勉強していくうちに、不可能と思われる戦に勝利したり、数的に不利でも知力を武器にのし上がっていった過程に引かれた。そこで史実をゲームに取り入れて6つのエピソードを設け、真田家の発展とともにルールもだんだん難しくなるよう工夫。最終のエピソード6は幸村が散った大坂夏の陣をモチーフに、真田軍と徳川軍が決戦を繰り広げる。
赤い甲冑(かっちゅう)が印象的なパッケージなどクールなデザインワークは、インターネットで見つけたアルゼンチン在住のイラストレーターに依頼。説明書は日英の両言語を表記するなど、ゲームの販売は、ワールドワイドを見据える。
塩尻市でボードゲームカフェを主宰し「ROKUMON」の日本語化サポートに携わった小林聖知さん(35、松川村)は「戦国系のボードゲームはあまりなく、史実とゲーム性をマッチさせているところはさすが。自分たちの好きなルールでできる自由度も良い」。同じくアドバイスなどで加わり、自身もゲームを作る水木智さん(43、岡谷市)も「信州をモチーフにしたゲームはうれしい。真田ファンにはたまらない」と評価する。
11月14日、東京・お台場で開かれたアナログゲームの全国イベント「ゲームマーケット2020秋」。チャーリーさんは小林さん、水木さんとともにブースを出展した。コロナ禍で客数などに制限もあったが、「関心は持ってもらえた。かっこいいとの声もたくさんもらえた」という。
チャーリーさんは、「ROKUMON」について「やってみれば面白さや奥深さが分かる。毎回違う展開が楽しめるので、家族などと繰り返し遊んでほしい」と話している。
製品版は2970円。チャーリーさんのサイト(http://www.ex1st.com/games)や、塩尻市のイベントスペース「ココカラ」で買えるほか、サイトから無料版もダウンロード(トークンなどを自身で印刷して使用)できる。