元小学校教員、心理カウンセラー・ 百瀬さんに聞く-小1プロブレムとは?

小学校では入学前の説明会や健診がほぼ終わり、年長児はいよいよ「1年生」になる意識が高まる時期になりました。喜びや期待に胸を高鳴らせつつも、何となく不安を感じている子ども、学校生活になじめない「小1プロブレム」を心配している保護者もいるかもしれません。元小学校教員で心理カウンセラーの百瀬敬子さん(71、山形村)に、小1プロブレムの原因や対処法などを聞きました。

★小1プロブレムとは?
学校生活に慣れない子どもが▽授業中に座っていられない▽教師の指示が聞けない▽ささいなことが原因のけんかが絶えない▽学校に行き渋る-などの状態になることです。園から学校に変わる「環境の変化」がギャップとなり、困り感や不安が生まれることで引き起こされます。
私も教員時代に経験しましたし、今も「家で荒れて泣き叫ぶ」「学校から飛び出してしまう」などの相談をよく受けます。

★「環境の変化」とは?
代表的な変化は3つあります。1つは、年長で頑張って活躍してきた子どもが小学校に入ると、一番年下として扱われるようになること。2つ目は遊びの中で学ぶことが前提で自由に活動できる時間が多い園に対し、学校は基本的に一斉指示で既定の教科を着席してこなすことが求められること。3つ目は保護者の送り迎えがなくなり、親は学校の様子を把握しにくく先生との信頼関係が薄くなりがちなことです。
何か問題が起きてから先生と話す機会を得るケースも多いです。建物や教室などの規模が大きくなる物理的な変化もあり、適応が困難な子は問題児とみなされてしまうことが多いです。

★親はどのような配慮をすればいいですか?
入学前であれば、(1)座っている状況を意識付けさせ、できたらたくさん褒める(2)人の話を聞く経験を積ませる(3)数の概念の理解につながる手遊びなどをする-といったことです。いずれも遊びの中で集中して学習する基礎を築くためです。
入学後は、▽家ではなるべく心身共に休まるような余裕をつくる▽親と先生、親と子どもの間でしっかりコミュニケーションをとる|ことが大切です。「周囲から理解されている」という安心感が子どもに居場所をつくります。
また、5人に1人といわれる人一倍敏感な子ども(HSC=ハイリー・センシティブ・チャイルド)や、ルールを理解しにくい、落ち着いて座っているのが苦手といった集団生活に困難を感じやすい子どもに対しては、それぞれの特性を見極め、大人が連携を取って適切なサポートをしていくことが不可欠です。
スマホやゲームの普及で親子のコミュニケーションの時間が減っていますが、保護者と先生、保護者と子どもの間でしっかりコミュニケーションを取っていくことで、小1プロブレムは多くの場合、改善していきます。まずは担任、その先には校長へと、学校体制の中で解決方法を考えてくれることもあります。

★不安を感じたり悩んでいる人へメッセージを
「あなたが存在しているだけで価値がある」という気持ちを念頭に置き、どうしたらその子らしく輝かせてあげられるかという視点を持ってください。根掘り葉掘り聞きだしたり、正論や自分の考えを言い過ぎることで子どもの心が傷つくこともあります。
「つらかったね、嫌だったね」など共感の気持ちと、小さなことでもできるようになったら褒めることを心掛け、自分が言われてうれしい言葉を掛けてあげてください。大人も自己肯定感を持ち、自分も相手も尊重しながらコミュニケーションを大切にしてください。

【ももせけいこ】アドラーカウンセラー、認定子育てハッピーアドバイザー、不登校親の会「モモの会」代表。養護学校の6年を含む38年間の小学校教員生活を通して、保護者や先生が子どもに対する適切な接し方を学ぶ必要性を痛感し、現在は親や現役教員らを対象にカウンセリングやPTA講演会などを行っている。