夫婦二人三脚 料理の道で持続可能な社会を

食を通じて環境考える機会を

オーガニック(有機栽培)野菜を軸に、八百屋、子ども料理塾、レストランを夫婦で展開する。
安曇野市穂高の﨑元伸郎さん(38)と、妻の生歩子(きほこ)さん(38)。伸郎さんは、川崎市で映画撮影や音楽活動をしていた2001年9月11日、テレビで目の当たりにした米中枢同時テロを「行き過ぎた資本主義に対する反発」と感じた。利益や効率最優先ではなく、持続可能な社会に向けて自分ができることを考え、料理の道に進んだ。
14年前に安曇野市に移住。JR穂高駅前にレストラン「グローカルフーズネーブル」を開き、その後、八百屋、料理塾と活動の幅を広げてきた。
「料理や食材を通して環境保護や持続可能な社会づくりに貢献できれば」。﨑元さん夫婦が二人三脚で進める活動とは-。

季節の有機野菜おいしさ五感で

﨑元伸郎さんが営むレストラン「グローカルフーズネーブル」で今月7日、「寒暖の差を意識して潤いの気をまとう」をテーマに子ども料理塾が開かれた。
メニューは、季節野菜のポトフ、蒸しキャベツのみそショウガだれ、カボチャくず粉豆乳のプリン風黒糖ソースなど6品。安曇野市や松本市から4~6年生7人が参加。「いろいろ学べるし、おいしい。料理から食材の話にまで広がり豆知識も増える」。開講当初から通う三好珠希さん(12、松本市清水小6年)は楽しそうに話した。
料理塾は毎週月曜、隔週で低学年と高学年に分けて開催。季節の食材を使い、その時季に合ったテーマとメニューを独特の視点で選んでいる。この日のメニューは「免疫力を上げるには潤いが大切」(﨑元さん)との観点から、鍋から出る蒸気に接することなどで、乾燥や潤いを体感してもらう狙いだ。
子どもたちに旬の有機野菜のおいしさを伝えるとともに、五感を使うことで感受性の幅を広げ、想像力を育てたい-。そんな願いが込もっている。

「3足のわらじ」でオーガニック発信

「料理は人を幸せにする。オーガニックが環境を意識するきっかけになれば」と話す﨑元さん。東京の調理師学校を卒業後、都内のオーガニックカフェやナチュラルフレンチの店に勤務。自然農法で野菜を育て、レストランやホテルなどを運営し、持続可能な活動を多面的に展開する安曇野市穂高の「舎爐夢(しゃろむ)ヒュッテ」で働きたいと2006年、同市に移住した。
そこで10年ほど働き、いろいろな人と関わりを持ちたいと15年、「グローカルフーズネーブル」を開店。「グローカル」は、ローカル(地域)な食材を使ったグローバル(世界的規模)な多国籍料理の意味を込めた。ネーブルは「へそ」。食材の肉、野菜は、それぞれ親や大地とつながって育つことから名付けた。
﨑元さんは、農薬や化学肥料で農地が命を育てる本来の力を失ったり、手間暇掛けて育てた有機農作物が市場で安く買いたたかれたりといったことに心を痛めてきた。
農業をめぐる環境や土地の荒廃が、子どもたちの将来の幸せを奪うのではないか-。そう思い悩むうちに「おいしい料理を食べて幸せに感じない人はいない」と気付いた。﨑元さん自身も、母の政代さん(65)が作った料理に幸せを感じてきた。9・11のショックから料理の道に進もうと思ったのには、そうした背景がある。
レストランを開いて3年後の18年。オーガニックな食材を家庭に広く広めるため、近くに八百屋「よろづやいっかく」を開店。野菜だけでなく、それを使った総菜の販売も始めた。
素材をおいしく食べてもらうため、家庭料理研究家の生歩子さんがレシピを作り、店頭で伝えたり、ネットで公開したりしている。「こんなふうに食べるとおいしいよ。こんな食べ方があるよと伝えたい」と生歩子さん。
子ども料理塾を始めたのは昨年10月だ。オーガニックを広める対象に、外食と家庭料理に、次代を担う子どもたちを加えた。
食は体だけでなく心を育むもの-。そんな思いを胸に、﨑元さん夫婦は「3足のわらじ」でオーガニックを発信し続ける。問い合わせはメール(ikkakuyorozu@gmail.com)で。