濃厚な味自慢の牛乳に乳製品 3世代で経営「萬谷ファーム」

毎日朝夕の5時半、牛舎に家族5人が集まり、一緒にコーヒーを飲んでから牛の世話が始まる。木曽町開田高原末川で萬谷(まんたに)宏さん(85)が経営する「萬谷ファーム」。家族経営の牧場の自慢は、濃厚な牛乳と、その牛乳から作ったチーズやバター、アイスクリームなどの乳製品だ。
「いろんなアイスクリームやソフトクリームを食べに行った。でも正直、うちのは味が濃くて本当においしいよ」。宏さんはそう言って胸を張った。
萬谷ファームでは、飼料は全て自ら栽培し収穫している。飼料や飼育方法を工夫、乳量を抑えたりジャージー牛の乳を加えたりすることで、年間を通して乳脂肪分を一般的な牛乳より高い約4%に保つ。脂肪分を低くすると、チーズやバターを作る際に調整が必要となり味も落ちる。脂肪分を高く維持することで、味・品質・製造工程を変えずに済むという。
こうして生産した牛乳は、1999年に宏さんが仲間と立ち上げた「開田高原アイスクリーム工房」で、乳製品にしている。
牛は、妻の秋子さん(82)が64年前に飼い始めた1頭からスタートし、22頭になった。現在は、北海道で酪農を学んだ息子の克明さん(58)が経営の軸となり、克明さんの妻の陽子さん(52)が5年前から、克明さん夫婦の子の遊野さん(20)が昨年から、牧場の仕事に加わった。
家族は増えたが、牧場の規模は今以上に広げないつもりだ。多大な投資を要するメガファームやギガファームは「わが家的にはまず無いですね」と克明さん。効率重視、大量生産では、今の自慢の牛乳はできない-。そう考えている。
「まさか孫まで一緒に家族皆でやるとは夢にも思わなかった。うれしいよ」と秋子さん。宏さんは「もう息子家族だけで何でもできると思うけど、自分も一緒にやってるよ。85歳で元気で現役ってなかなか無いと思うよ」と笑顔を見せた。