【ガンズリポート】「勝利」「育成」二兎追う難しさ

「1年でのJ1復帰」を目指した山雅の2020年は、13勝15分け14敗で13位という寂しい成績で幕を閉じた。反町康治氏の退任を受けて、今季就任した布啓一郎監督は「勝利」と「育成」の二兎(にと)を追う難しいチーム構築を求められ、成績が振るわず半年で解任された。
育成面はMF米原秀亮やDF大野佑哉、DF常田克人など若手を積極的に起用し、一定の成果をあげた。しかし戦術の浸透に時間を要し、けが人の続出という不運も重なる。リーグ前半は泥沼の5連敗を喫するなど勝ち点は伸びなかった。
指揮官はクラブの期待に応えようとしたが、21節・琉球戦(9月23日)では守備が崩壊して6失点の大敗。その翌々日、布監督は解任された。選手たちがピッチ上で問題を解決できるように自主性を促す手法を採ったのは間違いではないが、昨季のJ1チームが前半戦終了時点で19位に沈んでは、クラブも動かざるを得なかった。
後を受けた柴田峡監督は編成部長を務めており、チーム内の事情は熟知している。反町元監督の下で長くコーチを務めるなど指導力にも定評があり、時間がない中で早速、チームの再構築に取り掛かった。
状態を上向かせるために選手のメンタルを立て直し、守備の約束事を徹底。布氏のやり方の良かった点は継続し、困った時に戻ることができる基礎の部分を取り戻していった。チームに好循環が生まれ、特に失点は目に見えて減った。リーグ前半だけで11試合もあった複数失点が、後半戦では3試合まで改善した。
頻発していたけが人の復帰や、夏場以降の新戦力獲得で選手層が厚くなったことも功を奏し、立て直しに成功した山雅だが、目標を達成できなかったのも事実で、手放しでは喜べない。来季以降もJ1復帰と育成の両立を掲げるのであれば、前半戦の不振の要因を徹底的に分析し、今後につなげなければならない。