小澤メンタルクリニック・小澤院長に聞く―増やそう「セロトニン」

「幸せホルモン」で精神安定

長引くコロナ禍。さまざまな制限が強いられる自粛生活によってストレスがたまり、程度の差こそあれ気持ちが落ち込んだり、うつの症状に陥ったりする人も少なくないのでは。こうした症状に大きく影響し、「幸せホルモン」とも呼ばれる神経伝達物質「セロトニン」。この物質の増やし方などを小澤メンタルクリニック(松本市浅間温泉1)の小澤浩院長に聞いた。

-コロナ禍でメンタルが落ち込む人が増えているようだが
そうした患者さんが、春先は受診を控えていたようですが、夏から増えています。今までの患者さんが調子を崩したり、しばらく受診していなかった人が来たりしています。新規の患者さんで不眠や不安、焦燥感を訴えたり、気持ちが沈むなどうつの症状が出たりする方が多いので、影響はあると思います。
-「セロトニン」とは、どういう物質か

人に限らず広く動植物に存在する物質です。「モノアミン」と呼ばれる化学構造を持ち、人の脳内では神経伝達物質として働いています。同じモノアミンの神経伝達物質で、快楽をつかさどる「ドーパミン」、興奮や意欲に関わる「ノルアドレナリン」の調整や、自律神経の働きを整えています。簡単にいえば、感情や睡眠覚醒リズムの調整など、さまざまな身体機能のコントロールをする重要な物質です。
-セロトニンと精神の病気の関係は
うつ病の患者さんは、脳内のセロトニンの量が減少している可能性があります。うつ病の治療に用いられる抗うつ剤のほとんどは脳内のセロトニン量を増やしたり、セロトニン神経系の働きを高めたりする作用のあることが確かめられています。しかし、セロトニンはたくさんあればいいというわけではなく、適度な量で効率よく働くことが重要です。
-セロトニンを増やすには
セロトニンは必須アミノ酸の一つであるトリプトファンを原料として生合成されます。トリプトファンは脳血液関門を通過することができるので、トリプトファンを摂取することで脳内のセロトニンを増やすことは可能かもしれません。
ただし、トリプトファンからセロトニンを合成するためにはビタミンB6や葉酸なども必要で、特にどの食品を取ったらよいかというよりも、栄養に偏りなく食事を取ることが重要です。セロトニン量がいつも適度な量で体内に出ていることが大事です。
-漢方薬やハーブの効果は
漢方薬では「抑肝散(よくかんさん)」、「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」が神経系に作用するとされています。抗うつ剤に近い成分のハーブに「セントジョーンズワート」があり、サプリメントやハーブティーにもなっていて、手軽に手に入ります。ただしこれは、抗うつ剤との併用はNGです。
-日常生活で気を付けることは
日中に太陽の光を浴びること、適度な運動をすることでもセロトニン神経の活動性が高まることが知られています。バランスの取れた食事をし、睡眠をしっかり取って日中は活動的に過ごす-というごく当たり前の健康的な生活を送ることに尽きると思います。
しかし、現代の生活様式では夜型の生活になりやすく、日中も屋内で過ごしがちです。さらにコロナ禍で外出も制限され、うつ病を引き起こしやすい状況になっているといえます。