リサイクルアート展でグランプリ 安曇野の降幡さん

長さ120センチ、高さ45センチ、重さ2・5キロほどもある大きな魚の造形物。MGプレスや信濃毎日新聞の新聞紙を使ってメダカを表現した立体アート「EarthFish」だ。
作ったのは安曇野市の主婦、降幡好華(みか)さん(26、明科七貴)。産業廃棄物処理などを手掛ける札幌市の企業が昨年開いた「リサイクルアート展2020」一般の部で最高賞のグランプリを受賞した。
高校時代は美術部に所属、水彩画を描いてきたが、立体作品の制作は今回が初めて。半年ほどかけて作った。
水彩画も立体アートも、根底にあるのは子どもの頃の自然や生き物との関わりだ。「地球のすばらしい、美しい自然を守りたい」。作品を通して、環境保全の大切さ、生き物の尊さを訴える。

立体アート「EarthFish」製作

素材を生かした重量感ある作品

降幡好華さんの立体アート「EarthFish」は、完成までに6カ月かかった。縦2センチ、横20センチほどの帯状の段ボールを3500枚ほど作り、うろこ型に。それに新聞紙を貼り、メダカの形に組み合わせた。設計図などはないが、「リアルな魚を表現したい」と工夫を凝らした。
新聞紙を使ったのは「水彩絵の具のようで色がたくさん付いていて、カラーがグラデーションになっている部分もある。捨てるのももったいない」と降幡さん。
子どもの頃、安曇野の自然の中でたっぷり遊んだ。周囲には緑があり、生き物がいた。その経験、記憶が作品に生きている。「川で捕まえて飼った」メダカは、今では絶滅危惧種となった。
「EarthFish」は、地球上の自然がいつまでも守られるようにとの願いを込めて名付けた。水の青を基本に、木々や草花の緑、花を表すピンクやオレンジで四季を表現。審査員からは彩色せずに新聞紙など材料のもともとの色を活用しており、重量感ある美しい色彩の作品に仕上げた|と評価された。

妊娠きっかけに環境問題に関心

降幡さんは南安曇農業高時代に美術部に所属、本格的に絵を描き始めた。2年の時、顧問の教師から「自由に描いて」と言われ、その楽しさにはまった。当時描いた作品は「隠れ森」。よく見ると、生い茂る葉の中にニワトリなど生き物がたくさん隠れている。シクラメンも描かれ、高校時代の思い出がぎゅっと詰まった作品という。
宮崎県で過ごした大学時代も、安曇野を思いながら水彩画を描き続け、卒業後は故郷に帰って就職した。妊娠を機に仕事を辞めて時間ができたため、以前からやりたいと思っていた立体作品づくりに挑戦。力試しのつもりでリサイクルアート展に応募した。
地球環境問題に関心を高めたのも妊娠がきっかけだった。リサイクルアート展を通し、環境保全の大切さを痛感。新聞紙や段ボールなど、さまざまに再活用できる「資源」が身の回りにあることに気付いた。「『EarthFish』は子どもと一緒に作った感覚。妊娠したからこそできた作品」と話す。
さらに、5月10日の「コットンの日」にちなんだ特別企画「Tシャツ・プリント・デザイン・コンテスト2020」(国際綿花評議会=CCI、コットン・インコーポレイテッドなど主催)にも作品を出展。グランプリを受賞した。
今回の作品のテーマは「サステナブル(持続可能)なコットン」。アクリル絵の具で「自然と人とコットンのつながり」を描いたという。地球色のハートと種が発芽する様子をイメージした。「テーマをしっかり理解し、構成力も高くデザインとして非常にまとまっている」などと評価された。
「安曇野の自然の素晴らしさを発信する画家になるのが夢」と語る。現在は子育てで忙しいが、「もう少ししたら個展を開きたい。絵を仕事にしたい。いろいろな人に見てもらいたい」と、次の夢を描く。

【リサイクルアート展】
2015年に始まり、昨年で6回目。「使用しなくなったもの、廃棄物、不用品など」を利用し、芸術的、文化的価値のある造形作品として再生させ、発表する場としての位置づけで、昨年は一般の部に約300点の応募があった。