祖父母の手作りおやきの味を再現 中野仁美さん

大好きだった祖父母の手作りおやきの味が孫娘の熱意で約15年ぶりに復活した。「自分の子ども世代にも食べてもらい、笑顔になってほしい」と話す孫娘は中野仁美さん(30、安曇野市)。松川村にある実家の農園「夢ふぁ~むTOYA」内の加工施設で作り、昨年末から販売を始めた。
程よい厚さの皮で具を包み、ふかして表面を焼いて仕上げる。定番の具は大根やニンジンなどの「やさいミックス」や、野沢菜。新商品のリンゴのおやきは、人気上昇中だ。
村内の女性(68)は「家族みんなで親しんだ味だった」と懐かしむ。復活したおやきを一口食べると「絶妙な皮の食感。戸谷さんの味だ」。口が覚えていた。「若い世代が味を継承するのは良いこと」と復活を喜んだ。
仁美さんの祖父母、戸谷武光さん、みすずさん夫婦が農園内に加工施設を開いたのは1989年。ともに小川村出身で、おやき工房はみすずさんの夢だった。手作りの味を15年間村内で販売し、2007年に2人とも他界。その後は、仁美さんの父の戸谷勝次さん(66)がジャムやうす焼き、もち米加工食品などを製造していた。
対面販売に魅力を感じていた仁美さん。子育てに多忙な身だが、祖父母にねだった幼いころの自分のように、「おやきちょうだい」と立ち寄れ、ほっとできる場を作ろうと決めた。販売店舗「自然*食工房MISUZU」を園内に設け、おやきや、義姉の戸谷友香里さんが作るアイシングクッキーなども扱う。
勝次さんの記憶と舌を頼りに、粉の種類や配合を若干変えて今の嗜好(しこう)に合わせつつ懐かしい味を再現した。現在は主に仁美さんと勝次さん、友香里さんの3人で製造に励む。「喜んでくれているといいですけどね。頑張らないと」。仁美さんは、店内の祖父母の写真に語りかけた。
営業は木、金、土曜の午前10時~午後2時。tel.0261・62・8607