「体験型シェア農業」で思いや知識共有

環境保全に向け一歩ずつ
シェア農業 「アイスベア」

農業を通じて環境保護の大切さや安心・安全な食べ物づくりの意識を共有(シェア)したい-。そんな思いを抱いた女性3人が「体験型シェア農業」を掲げ、グループ「EisbarPlatz」(通称アイスベア)を立ち上げた。
3人は大島和美さん(41、安曇野市穂高柏原)、中島ゆかりさん(45、同)、中澤奈恵さん(42、松本市蟻ケ崎6)。いずれも農業は初心者だ。農地を借り、募った会員と共にそれぞれの農地で一緒に作物を栽培する。
化学肥料などを使わず、土地や自然が本来持つ能力を生かして農作物を育てる自然農法を学びながら手探りで活動し、体験や知識を共有する人を増やしたい-。そんな3人が始めた「体験型シェア農業」とは。

子どもの健康未来のために

大島和美さん、中島ゆかりさん、中澤奈恵さんは子育て中の「ママ友」だ。子どもの健康や未来を考えた時、食や環境保全への関心は高まる。「自然、環境を守り、子どもに残したい」。脱石油のシャンプーや化粧品を使ったり、ごみを分別したり…。「もっとできることはないのかな」との思いでたどり着いたのが農業だった。
化学肥料や農薬で水や土壌を汚さずに、安心安全な作物を育て子どもに食べさせたい。「自分たちでやってみよう」。3人は意気投合し、昨年4月に「アイスベア」を設立した。
土地探しから始め、松本、安曇野、塩尻3市に1カ所ずつ、それぞれ200~900平方メートルほどの田畑を借り、松本で野菜、安曇野で大豆、塩尻で米を育てた。会員として参加した家族と共に、収穫した米と大豆でみそ造りにも挑戦した。
初年度の活動を通じてさまざまな「学び」も得られた。取れたて野菜のおいしさ、食べ物それぞれの旬、米一粒や豆一粒の重み、農作物が本来持つたくましさ…。取り組みが広がれば、食品ロスや遊休農地の活用にもつながると期待する。
種も、買うのではなく、栽培した野菜などから採取。「農作物には土の記憶が残るという。畑に、気候風土に合う種になる。畑も農作物も良くなる。3、4年後が楽しみ」。3人はそう話した。

新しい農業をみんなでやる

動きだした「アイスベア」。Eisbarはドイツ語でホッキョクグマ、Platzは広場や場所を指す。地球温暖化などの影響で絶滅が心配されるホッキョクグマに、環境保全への期待を込めた。3カ所の農地も「しろくまファーム」と名付けた。
モットーは「みんなでやるからできる、わくわくする。そんな新しい形の農業を体験してみませんか?」。3人と同じく集う会員たちも初心者。ノウハウは、塩尻市の自然農法家、中村小太郎さんを講師に招くなどして学んでいる。
農作業からは、楽しさだけでなく作物を作る苦労も痛感する。化学肥料を使わずに済む土づくり、虫や雑草を除去することなく得る収量…。人や環境に優しい農業はスローガンや意気込みだけではできない。
ただ、そんな苦労も参加者みんなで共有することで乗り越えられるのが「シェア農業」の良さだ。小さな一歩が少しずつ広がり、いずれ大きな動きになればいい-。そんな願いを胸に、4月から2年目の活動が始まる。

【EisbarPlatzの今期の活動】
安曇野市の「しろくまファーム有明」では枝豆や大豆を栽培。定員10家族で、参加費(年間)は1万円。野菜を育てる松本市の「しろくまファーム波田」は、定員7家族で参加費(同)1万円。米を作る「しろくまファーム塩尻」の参加費は、単発1回1家族3000円、年間会員「A」は3万3000円(3家族限定)、「B」は1万2000円。