長福寺住職・竹村さん座禅会を毎朝配信

オンライン上の「居場所」に

「皆さん、おはようございます、シンゲンです(合掌)」。毎朝5時半、画面に僧侶が現れ、穏やかな口調で語り始める。タイトルは「シンゲンと毎日坐禅会」。僧侶は長福寺(池田町会染)住職の竹村信彦(しんげん)さん(33)だ。
信彦さんは昨年5月1日から、自宅で撮影する座禅会の様子を、ユーチューブとインスタグラムでライブ配信している。開始以来1日も休まず、もうすぐ300回を迎える。
座禅会は約1時間。リンの音で10分間の座禅が始まる。画面にはひたすら座禅を組む信彦さんが映るだけ。座禅の後は、信彦さんによる法話の時間だ。
動画配信は、コロナ禍で心の疲れを感じている人がリフレッシュできれば─と始めた。画面を通して誰かと時間を共有する安心感があるという信彦さん。「私も救われています」

一日も休まずもうすぐ300回

長福寺の竹村信彦住職が配信する「シンゲンと毎日坐禅会」は、座禅の解説動画を一度作って終わりではなく、毎日ライブ配信することにこだわる。一緒に座禅を組み、誰かと時間を共有することが大事|という。「誰かにとってオンライン上の居場所になれば」との思いもある。
現在、早朝のライブ配信は約20人が視聴する。動画はアーカイブ視聴もでき、1日の再生回数は約100回にのぼる。中にはロンドンからライブ参加する人も。「心を落ち着かせる時間が持てる」と参加者から好評だ。
配信中にインスタグラム(インスタ)経由で寄せられるコメントに対し、丁寧に答えていく信彦さん。視聴者同士でコメントをやりとりする姿も見られ、和気あいあいとした雰囲気が伝わってくる。
座禅会の法話のテーマは毎日違い、仏教だけでなく本や映画、ネット、芸能人の言葉、最近のアニメなど多岐にわたる。日頃心に留まった言葉をスマートフォンのメモ機能に入力して記録し、易しい言葉で解説していく。「人に伝えることを前提にものを見ると、より深く学べるようになりました」。座禅会が始まる時間になってもテーマが決まっていない時も。それでも座禅が終われば不思議とテーマが浮かび上がる。
10~20分間ほどの法話を編集し、「シンゲン日記」としてその日のうちにユーチューブへ動画をアップしているのは、妻でグラフィックデザイナーの美代子さん(34)。「仏教に興味がない人にも間口を広げたかった」。信彦さんの写真とタイトル文字をポップにデザインしたサムネイルは人目を引き、思わず笑ってしまう。

楽しみながら無理せず続け

松川町出身の信彦さんは、落ち着きのなさに手を焼いた親の勧めで子ども向けの座禅会に参加し、僧侶に憧れを持った。実家は寺ではないが、小学校の卒業文集に将来の夢は「ご住職様」と書いたほど。中学生の時、曽祖母との死別をきっかけに死について考えるようになり、「人の役に立って死にたい」と仏門に入った。曹洞宗の永平寺(福井県)で憧れの修行。今も座禅や経を読むのが大好きで楽しいという。
毎日の座禅会を始めた当初、信彦さんは慣れないブログを書き始めたため徹夜で座禅会を迎えたり、美代子さんも動画の編集を凝りすぎてしまい早々に挫折しそうになったり。どうやったら続けられるか、本などで学んだ末、二人とも当初より作業を簡素化。何と何をやらないかを決めたという。
毎日続けるためのこつは─。そう尋ねると、「頑張らない、無理しない、成果を期待しないことです」と、実感を込めて信彦さん。
5月1日には、コロナ禍を受けて座禅会を始め、ちょうど1年を迎える。その日、「シンゲンと毎日坐禅会」を視聴する人たちを集めて「オフ座禅会」を開くのを楽しみに、今朝も配信を続ける。

【メモ】
【座禅会の動画配信】

ユーチューブは「シンゲンと毎日坐禅会」で検索。インスタのアカウントは「shingen_takemura」。基本的に、毎日午前5時半から座禅のやり方の説明や法話など含めて約1時間。隔週月曜は午後8時からで座禅のみ。アーカイブ視聴もできる。法話は音声配信アプリ「スタンドエフエム」(DJ坊主☆シンゲンラジオで検索)でも聴ける。