自給自足目指すイラストレーター新井さん

環境問題に目を向け実践 農業こそ未来のライフスタイル

松本市島内のイラストレーター新井芙季さん(26)は、環境保全などのために自給自足を目指して生活している。きっかけはヨーロッパで「農家ステイ」し、自らの手で食べ物を育て、生きる人々と出会ったこと。自家菜園を耕し、採卵のために鶏を飼うなどする体験や考えを、漫画に描いてブログなどで発信中。その暮らしぶりを見せてもらった。
自宅の庭木を切って畑に変え、昨年3月から農業に詳しい知人に教わってナスやジャガイモ、キャベツ、ホウレンソウなどを栽培している。畑の周りに生える雑草も、ハコベは麺つゆとごまでおひたしにしたり、みそ汁に入れたり。「家族には『また雑草か』と不評ですが」と苦笑いする。
野菜くずや卵の殻、茶殻などは堆肥に。自作のコンポストはごみ箱の底をくり抜き、ひっくり返して土の上に置き、鍋のふたをかぶせた。農家からもらった米ぬかや、落ち葉を入れて発酵させ、畑の養分として循環させる。
家の中と屋外の鶏舎で、有精卵をかえして育てたウコッケイなど3羽を飼う。市販の卵を生産する過程で、卵を産まない雄のひなは殺されることがあると知り、自給することにした。鶏を飼い「動物にも魂があり、売られている肉も命だったということを、考えるきっかけになった」。鶏にも個性があり、3羽の関係性を擬人化して漫画にした。
生産に大量の穀物や水を必要とする牛肉や乳製品などは食べる回数を減らし、代わりに大豆製品を選ぶ。「安い肉や、形がそろった野菜が季節に関係なく売られている。手にするものがどのように作られ、どこから来たかに、消費者は関心を持つべき」と訴える。

松本市で生まれ育ち、宇都宮大農学部を卒業後、有機農場に泊まり込んで農作業を手伝う農家ステイを国内5カ所でした。2019年には3カ月間、有機農業が主流のベルギーやアイルランド、フィンランドなどで自給自足の生活を体験。欧州の人々の環境に関する意識の高さに触れ、帰国後に環境問題を題材に漫画を描き始めた。
環境だけでなく食糧自給率の低さ、食の安全への不安など、多くの社会問題の解決の糸口が「農業にある」と考える新井さん。今後は米も作り、多くの人が農業に親しめる市民農園を開きたいと夢を描く。
「エコや自給自足と言うと昔の生活に戻るようだが、農業こそが一歩先の未来のライフスタイル。若い世代に新しい目線で魅力を伝えたい」と力を込める。新井さんのブログhttps://amayadoriwo.com